「こんばんは」
チャイムの音がした気がしてドアを開けると、3歳年上のねーちゃんが立っていた。もう22時過ぎだというのに。
月が綺麗な夜だった。月明かりで影ができるほどの。
なんだろう一周違和感を覚えた。
「ねーちゃん? こんな遅くにどうしたんだよ?」
「なんか和希のことが気になってさ」
「こんな遅くに? まあ、入んなよ」
とりあえず俺はねーちゃんを部屋の中に入れた。
それにしても年賀状送ってたっけ? よく住所分かったな。
俺はねーちゃんの顔をちらりと見ながら考える。
「何か飲む?」
「私はいらない」
俺は仕事から帰って風呂からあがったばかりだった。飲みかけのビールをぐいと飲み干して、冷蔵庫からもう一本取り出す。
バスタオルで頭を拭きながらねーちゃんを見ると、ねーちゃんはスーツ姿だった。真四角の小さなテーブルを挟んで俺とねーちゃんは真向かいに座った。
「ねーちゃん、仕事帰りなの?」
「うん。たぶん」
「たぶん?」
「たぶんってなんだよ」
違和感を感じながらも、俺はねーちゃんの訪れを歓迎はしていた。二人姉弟の俺たちは仲がよく、お互い就職して別々に暮らすようになってもメールや電話で連絡をとっていた。だが、会うのは久しぶりだった。
「仕事はどう?」
「まあ、ぼちぼち慣れてきたかな」
俺が入社してから半年が経っていた。研修も終わり、仕事も少しずつ分かってきたところだ。
「そっか。和希は営業職向きじゃないと思ってたから、心配だったけど、なんとかなってるなら私も嬉しい」
ねーちゃんは笑って言った。
「何、ねーちゃんは上手くいってないの?」
「うん。最近いいことなくてさ。上司が変わったんだけど、その人がほんと仕事できない人で。その人の分まで私が働いてる感じ」
ねーちゃんは自分の太腿を叩きながら言う。
「あー、そりゃ辛いね」
「それに、聞いてよ! 功一、中距離恋愛になって、浮気したんだよ!!」
俺は「え?」と目を見張った。功一さんと姉は高校の時から付き合っていて、俺も何度も会ったこともあるし、いずれ兄になるんだと思っていた。
功一さんは浮気するようなタイプには見えなかったけどな。
「で、ねーちゃんはどうしたわけ?」
「……別れたよ。浮気する人は繰り返すって言うから」
ねーちゃんは涙を浮かべてぶーたれた顔でそう言った。
俺はかける言葉を失った。そんな俺に、
「弟よ。ねーちゃんを慰めてくれよ~」
とねーちゃんはとうとう涙をこぼしながら言った。ねーちゃんは功一さんのことを話に来たのか。
チャイムの音がした気がしてドアを開けると、3歳年上のねーちゃんが立っていた。もう22時過ぎだというのに。
月が綺麗な夜だった。月明かりで影ができるほどの。
なんだろう一周違和感を覚えた。
「ねーちゃん? こんな遅くにどうしたんだよ?」
「なんか和希のことが気になってさ」
「こんな遅くに? まあ、入んなよ」
とりあえず俺はねーちゃんを部屋の中に入れた。
それにしても年賀状送ってたっけ? よく住所分かったな。
俺はねーちゃんの顔をちらりと見ながら考える。
「何か飲む?」
「私はいらない」
俺は仕事から帰って風呂からあがったばかりだった。飲みかけのビールをぐいと飲み干して、冷蔵庫からもう一本取り出す。
バスタオルで頭を拭きながらねーちゃんを見ると、ねーちゃんはスーツ姿だった。真四角の小さなテーブルを挟んで俺とねーちゃんは真向かいに座った。
「ねーちゃん、仕事帰りなの?」
「うん。たぶん」
「たぶん?」
「たぶんってなんだよ」
違和感を感じながらも、俺はねーちゃんの訪れを歓迎はしていた。二人姉弟の俺たちは仲がよく、お互い就職して別々に暮らすようになってもメールや電話で連絡をとっていた。だが、会うのは久しぶりだった。
「仕事はどう?」
「まあ、ぼちぼち慣れてきたかな」
俺が入社してから半年が経っていた。研修も終わり、仕事も少しずつ分かってきたところだ。
「そっか。和希は営業職向きじゃないと思ってたから、心配だったけど、なんとかなってるなら私も嬉しい」
ねーちゃんは笑って言った。
「何、ねーちゃんは上手くいってないの?」
「うん。最近いいことなくてさ。上司が変わったんだけど、その人がほんと仕事できない人で。その人の分まで私が働いてる感じ」
ねーちゃんは自分の太腿を叩きながら言う。
「あー、そりゃ辛いね」
「それに、聞いてよ! 功一、中距離恋愛になって、浮気したんだよ!!」
俺は「え?」と目を見張った。功一さんと姉は高校の時から付き合っていて、俺も何度も会ったこともあるし、いずれ兄になるんだと思っていた。
功一さんは浮気するようなタイプには見えなかったけどな。
「で、ねーちゃんはどうしたわけ?」
「……別れたよ。浮気する人は繰り返すって言うから」
ねーちゃんは涙を浮かべてぶーたれた顔でそう言った。
俺はかける言葉を失った。そんな俺に、
「弟よ。ねーちゃんを慰めてくれよ~」
とねーちゃんはとうとう涙をこぼしながら言った。ねーちゃんは功一さんのことを話に来たのか。



