「永良! 待って!!」
「っ!!? 付いてくんな、バカ!!」
桜紅葉が舞い散る中を全速力で駆けていく。
幸いなことに人の姿はまばらだ。
けど、僕の心の中は色んな感情でもみくちゃになっていた。
主人公だから僕とは馴れ合わない?
それってつまり(ざまあを達成してもしなくても)現役の間は仲良くしないってこと?
「何年かかると思ってるのさ」
僕らはまだ15歳。
高校卒業のタイミングで引退するなら三年、就職を機に引退するなら七年先ということになる。
……無理。待てない。
そんなに待たなきゃいけないなら、もうざまあなんていらない。
「……えっ?」
僕は思わず笑ってしまった。
我ながらブレブレだな。
「うおおぉぉおおおお!!!!」
「すっご……!」
永良が加速し出した。
速い。みるみるうちに離れていく。
まるで距離が縮まらない。
「永良!!!」
『ドアが閉まります。ご注意ください』
僕が階段を降り切るのと同時に、電車のドアが閉まってしまった。
永良は電車の中だ。こっちに背中を向けた状態で、激しく咳込んでいる。
表情はまったく見て取れない。
「はぁ……はぁ……」
永良の背中が電車と共に遠ざかっていく。
ホームには数人の降車客と、荒く息をつく僕だけが残された。
「まぁ、……あの脚力だもんね。速くて、当然か……」
あの分だと、100メートル12秒……下手したら、11秒台もありそうだ。
陸上に行っていたら、間違いなくスター選手になっていただろう。
ってか、あのレベルならスカウトが来ていない方がおかしい。
もしかして……蹴ってたのかな?
僕のことが心配で。
「ふっ」と小さく笑って、やれやれと首を左右に振る。
「はぁ……はぁ……ふーーーーーっ……」
深く息をつきながらベンチに腰掛ける。
心拍数が落ち着いていくのにつれて、頭も大分冷えてきた。
……うん。よし。
やっぱり妥協しよう。
――主人公から降りたいようなら降りてもいい。
――その代わり僕と仲良くして。
そう持ちかけるんだ。
永良は元々気乗りしていなかったみたいだし、悪い話じゃないだろう。
僕の方は……大丈夫だ。
永良を繋ぎ止める、その目的が達成出来るのなら喜んで『無双系主人公』になろう。
「そうと決まればカチコミだね」
幸いなことに永良の所属先は公表されている。
まずはスイミングスクールの方から行ってみようかな。
善は急げで明日の学校帰りにでも。
「逃がさないよ、永良」
何かヤンホモみたい。
内心でノリツッコミしつつ、僕は笑った。
誰もいない地下鉄のホーム。
ひんやりとした外気が、今の僕にはとても心地良かった。
「っ!!? 付いてくんな、バカ!!」
桜紅葉が舞い散る中を全速力で駆けていく。
幸いなことに人の姿はまばらだ。
けど、僕の心の中は色んな感情でもみくちゃになっていた。
主人公だから僕とは馴れ合わない?
それってつまり(ざまあを達成してもしなくても)現役の間は仲良くしないってこと?
「何年かかると思ってるのさ」
僕らはまだ15歳。
高校卒業のタイミングで引退するなら三年、就職を機に引退するなら七年先ということになる。
……無理。待てない。
そんなに待たなきゃいけないなら、もうざまあなんていらない。
「……えっ?」
僕は思わず笑ってしまった。
我ながらブレブレだな。
「うおおぉぉおおおお!!!!」
「すっご……!」
永良が加速し出した。
速い。みるみるうちに離れていく。
まるで距離が縮まらない。
「永良!!!」
『ドアが閉まります。ご注意ください』
僕が階段を降り切るのと同時に、電車のドアが閉まってしまった。
永良は電車の中だ。こっちに背中を向けた状態で、激しく咳込んでいる。
表情はまったく見て取れない。
「はぁ……はぁ……」
永良の背中が電車と共に遠ざかっていく。
ホームには数人の降車客と、荒く息をつく僕だけが残された。
「まぁ、……あの脚力だもんね。速くて、当然か……」
あの分だと、100メートル12秒……下手したら、11秒台もありそうだ。
陸上に行っていたら、間違いなくスター選手になっていただろう。
ってか、あのレベルならスカウトが来ていない方がおかしい。
もしかして……蹴ってたのかな?
僕のことが心配で。
「ふっ」と小さく笑って、やれやれと首を左右に振る。
「はぁ……はぁ……ふーーーーーっ……」
深く息をつきながらベンチに腰掛ける。
心拍数が落ち着いていくのにつれて、頭も大分冷えてきた。
……うん。よし。
やっぱり妥協しよう。
――主人公から降りたいようなら降りてもいい。
――その代わり僕と仲良くして。
そう持ちかけるんだ。
永良は元々気乗りしていなかったみたいだし、悪い話じゃないだろう。
僕の方は……大丈夫だ。
永良を繋ぎ止める、その目的が達成出来るのなら喜んで『無双系主人公』になろう。
「そうと決まればカチコミだね」
幸いなことに永良の所属先は公表されている。
まずはスイミングスクールの方から行ってみようかな。
善は急げで明日の学校帰りにでも。
「逃がさないよ、永良」
何かヤンホモみたい。
内心でノリツッコミしつつ、僕は笑った。
誰もいない地下鉄のホーム。
ひんやりとした外気が、今の僕にはとても心地良かった。
