ここでしかできない話。
友達のこと。
同じ大学に通う友達。
自分も彼もそうだけど、ほとんどうちの学生は地元民ではないと思う。過疎化が進んだところで若い人が少ないし、むしろそこで育った人たちは出て行きたがっているような田舎で、本来なら大学なんて設立しないような場所。
だから外からやって来た学生が多くて、一人暮らしとか、寮とか、空いてる部屋にホームステイさせてもらってるとか、そんな学生が多い。
彼はどちらかというと真面目な学生。生活費も授業料も親に全部出してもらってるから、絶対に単位を落とすわけにはいかないって、講義も休まないし、誘いにも全部はのらない。
だからって、休み時間になっても座ったまま動かないなんておかしい。
どこか虚ろに呆然としている。
かと思ったら講義中にうつらうつら眠そうにしていたり。
あるとき、彼の横を歩いていたら突然「ひっ」と声を上げて大げさに飛び跳ねたんだ。なにかを踏んづけたみたいに。
オレもびっくりして彼の足下を見てみるけどなにもないっていう、そんなことが何度かあって。
周りはおもしろ半分にあいつはおかしいとかウワサするようになったから、オレは問い詰めたんだよ。なんかあったのかって。
そうすると、彼は嫌な気配がすると、真顔で打ち明けてきた。
それは帰宅途中に遭遇した出来事で。
ふと電柱に貼ってあったチラシを見たんだって。
迷子になった犬を探してますって、写真も添付されてた。
ぎょろっとした目がこちらを見たような気がして足を止めたらしい。
でも、犬ってほぼ黒目でしょ。どこを見ているかわからないはずなのに、黒目でずっと自分のことを追っているんだって。
そのチラシがいつからそこに貼ってあったのかはわからない。それまでは気づいていなかったというんだ。
もう日も暮れかかっていたし、寒いから帰ろうとしたんだけど、なにかが引っかかった。
どこかで写真の犬を見かけたことがあるように思った。
気になったからとりあえずチラシに書いてあった番号にその場で電話をかけてみた。自分も役に立てることがあるかもしれない。
すると、現在使用されてないとアナウンスが流れた。番号を間違えたのかともう一回かけたが同じだった。
その時、足になにかが接触したような気がした。
犬の写真を見ていたからか、前足でひっかかれたのだと思った。犬が自分の足下にいると。
飛びのくようにして足下を確認したが、なにもなかったという。
気のせいだと彼はそのまま帰宅した。
自炊して風呂に入って布団にくるまる。
まわりの住人もすっかり寝入っている時間帯だった。
カリカリとなにかをひっかくような音が聞こえてきた。隣の部屋でもない。
部屋の外。
ワンルームの狭いアパートだ。寝ていても視線のすぐ先に玄関のドアがある。
なにものかが家に入りたがっている、と彼はいった。
連れてきちゃったんだよ。
なにをって、たぶんその犬は、もう――
なにをいいたいのかはわかったよ。
なまじ関わってしまったがゆえにね。ついてきてしまったって。
いってる彼自身もなにをいってるのか混乱している様子だった。
自分もそういうの、信じるほうじゃないし。
でもなんていうか、信じるとか信じないとかそういうことじゃなくて。
彼の様子が変だってこと。なにかがおかしいってのは本当。ただそれが気がかり。
こういう経験ある人いませんか?
友達のこと。
同じ大学に通う友達。
自分も彼もそうだけど、ほとんどうちの学生は地元民ではないと思う。過疎化が進んだところで若い人が少ないし、むしろそこで育った人たちは出て行きたがっているような田舎で、本来なら大学なんて設立しないような場所。
だから外からやって来た学生が多くて、一人暮らしとか、寮とか、空いてる部屋にホームステイさせてもらってるとか、そんな学生が多い。
彼はどちらかというと真面目な学生。生活費も授業料も親に全部出してもらってるから、絶対に単位を落とすわけにはいかないって、講義も休まないし、誘いにも全部はのらない。
だからって、休み時間になっても座ったまま動かないなんておかしい。
どこか虚ろに呆然としている。
かと思ったら講義中にうつらうつら眠そうにしていたり。
あるとき、彼の横を歩いていたら突然「ひっ」と声を上げて大げさに飛び跳ねたんだ。なにかを踏んづけたみたいに。
オレもびっくりして彼の足下を見てみるけどなにもないっていう、そんなことが何度かあって。
周りはおもしろ半分にあいつはおかしいとかウワサするようになったから、オレは問い詰めたんだよ。なんかあったのかって。
そうすると、彼は嫌な気配がすると、真顔で打ち明けてきた。
それは帰宅途中に遭遇した出来事で。
ふと電柱に貼ってあったチラシを見たんだって。
迷子になった犬を探してますって、写真も添付されてた。
ぎょろっとした目がこちらを見たような気がして足を止めたらしい。
でも、犬ってほぼ黒目でしょ。どこを見ているかわからないはずなのに、黒目でずっと自分のことを追っているんだって。
そのチラシがいつからそこに貼ってあったのかはわからない。それまでは気づいていなかったというんだ。
もう日も暮れかかっていたし、寒いから帰ろうとしたんだけど、なにかが引っかかった。
どこかで写真の犬を見かけたことがあるように思った。
気になったからとりあえずチラシに書いてあった番号にその場で電話をかけてみた。自分も役に立てることがあるかもしれない。
すると、現在使用されてないとアナウンスが流れた。番号を間違えたのかともう一回かけたが同じだった。
その時、足になにかが接触したような気がした。
犬の写真を見ていたからか、前足でひっかかれたのだと思った。犬が自分の足下にいると。
飛びのくようにして足下を確認したが、なにもなかったという。
気のせいだと彼はそのまま帰宅した。
自炊して風呂に入って布団にくるまる。
まわりの住人もすっかり寝入っている時間帯だった。
カリカリとなにかをひっかくような音が聞こえてきた。隣の部屋でもない。
部屋の外。
ワンルームの狭いアパートだ。寝ていても視線のすぐ先に玄関のドアがある。
なにものかが家に入りたがっている、と彼はいった。
連れてきちゃったんだよ。
なにをって、たぶんその犬は、もう――
なにをいいたいのかはわかったよ。
なまじ関わってしまったがゆえにね。ついてきてしまったって。
いってる彼自身もなにをいってるのか混乱している様子だった。
自分もそういうの、信じるほうじゃないし。
でもなんていうか、信じるとか信じないとかそういうことじゃなくて。
彼の様子が変だってこと。なにかがおかしいってのは本当。ただそれが気がかり。
こういう経験ある人いませんか?



