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拘置中の犯人に会ったった
凸撃配信者Dのお前がやらないからやったった
3万回視聴
少女・誘拐・拉致・監禁・ゲスの極みは蜜の味。初の拘置所潜入。
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 晴れ渡る青い空。くっきりと浮かぶ白い雲。どこまでも続く高い塀。
 塀の上半分はツタの葉でみっしり覆われている。

 鉄格子のような門扉の奥にひとりの男が叫んでいた。
「おーい」
 男はカメラが近づくと鉄格子をつかんで揺さぶった。
「ここから出してくれ!」
 鉄格子に頬を押しつけもがき苦しむ様子を見せると、撮影者から笑いが漏れた。
「自分で入ったんだろうが」
「自分で入ったけど捕まってはない。だってここは廃墟だから」
「廃墟っていうな。有形文化財だぞ。壊したらそれこそぶち込まれるから」
「あのね、ここは元拘置所なの。凶悪犯を押し込めていた場所なのに、そんなに簡単に壊れるかよ」
「はいはい」
 撮影者は門扉を開けると中へ入っていった。

 奥には木造の建物がある。古い小学校のような様相で物々しさは感じない。
 男らはドアを開けて入っていく。受付と書かれた無人の小窓をのぞき込む。
「面会だよ~」
 ふざけた調子で男はどんどん進んでいく。

 するとまた鉄格子で区切られた場所までやって来た。
 その奥は廊下のようなスペースだがかなり広い。両側に3つずつ部屋があってすべてのドアが開きっぱなしになっていた。ドアには小窓があってやはり鉄格子がはまっている。

「本気で暴れたら脱走できそうだよね。でも、これまではこの島にはそんな凶悪犯は生まれなかったのかも。でもね、今回、あの世間を震撼させた、あの犯人ね。なんと、本当に会ってきました」
 男は得意げに自分で拍手した。

「いや~。この島ね、結構観光名所多いのよ。あ、そんなことはいい?」
 もったいぶって舌なめずりする。

「自分の周りに捕まったことがある人がいないからさ、知らなかったんだけど、逮捕された人と面会できるのって、弁護士とか親族だけじゃなかったんだよね。申請してみたら、なんか通っちゃって。ほんとだよ? で、どこの馬の骨ともわかんないヤツと会ってくれたの。やっぱ違うわ、本物は。普通じゃないよ」

 鼻で笑って続けた。

「本当の拘置所の方にも行ってきたの。配信やってることを伝えたら彼女がどこにいるか探してくれって。何を聞くよりまず探せって。彼女はどこにいるのか。隠しているのか。連れ戻せって。知るかよ。顔も名前も知らねぇっての。みんなそうでしょ。探せっていうけど、どうすんのって聞いたら、どこかの児童施設に預けられたらしいことは知ってるって。でも今は自立してその後行方がわかってないんだと。それはお前に知らせてないだけじゃねぇのって、まぁ、一応調べてみた、といっても検索エンジンのAIが答えてくれただけだけど。やっぱ行方知れずだって」

 男はお手上げというような身振りをした。

「オレに会ってくれたわけはわかったよ。誰も彼女の行方を教えてくれないから、オレみたいなヤツなら教えてくれると思ったんだろうな。で、連れ戻してどうするのって聞いたら、結婚の約束をしているからって」

 男はまたそこでゲスい笑いをした。

「狂ってるよね。さすがだわ~。あ、まぁ、信じるか信じないかはアンタが決めてよ」
 男はカメラ目線で締めくくった。