御三家恋綺譚~風の巫女と光の守り人~


人ならざる力を継ぐ三家が支える国。

表向き、この国は秩序の中にある。
だが、その裏側では、人ならざる“闇”が確かに息づいていた。

かつて一度、その闇が世界を覆い尽くしかけたことがある。光が呑まれ、すべてが失われかけた時代。

それを祓い、均衡が崩れぬよう、密かに手を下してきた三つの家。

それが——

近衛(このえ)家、(あらし)家、(すめらぎ)家。
“御三家”と呼ばれる存在だった。

表では、財界の頂点に君臨する由緒ある名家。その動向ひとつで、国の経済が揺らぐ。
さらにその影響は、政界にまで及んでいた。

そしてその裏の役目を知る者は、この国の政を預かる、ごく一握りに限られていた。

闇に触れ、闇を断ち、そして何事もなかったかのように、表へ戻る。
それが、古来より御三家の血に刻まれた、逃れ得ぬ宿命だった。


そんな御三家の中にひとり、“問題児”と呼ばれる少女がいた。
——後に、御三家の歴史に深く名を刻むことになる。