僕は多分、この学校では陰キャに分類されるのだろう。
別にいい、静かに過ごせるのなら、それでいい。無駄に友達を作ろうとも、先輩たちに絡もうともしない。休み時間には自分の席で本を読み、帰宅部なので放課後は一人で帰る。もう、慣れたことだ。寂しくも、虚しくもない。
いや、虚しいかも。
「失礼します……」
体育の授業のサッカーでボールを踏み盛大にみんなの前でコケてしまった。恥ずかしい。
保健室に入ると、静かで、先生の姿も見えない。
職員室だろうか。足の怪我でどうにも歩く気にはなれず、近くにあった椅子に座った。
「誰…?」
背後から気だるそうな声が聞こえ、肩が跳ねる。
声のする方へ顔を向けると、制服のカッターシャツを第一ボタンまで開け、ネクタイは緩く、ピアスを付けている高身長のイケメンが立っていた。三年の西園寺 北斗だ。
なぜ、この人がここにいるのか。
「えっと…、体育で転んで、怪我しちゃって…」
とりあえず、用件を伝えてみる。サボりだと思われては悪印象だ。
「どこ?見せて?」
「え?」
「怪我、手当するから」
大人しく、怪我している足を出した。すると手際よく救急箱から消毒液と大きめの絆創膏を取り出し手当をしてくれた。なんだか、手馴れてるな。
「ありがとうございます…」
「君、名前は?」
「えっと、、二年の小鳥遊優です…」
「ふーん、」
聞いといて、その反応?
既に俺の中で良い印象はなかったが、先輩なので何も言えない。多分、保健室に誰が来たとかを伝えないといけないから聞いたとか、それだけの理由だろう。とは言っても、今は授業中だし、この人、サボりか?三年なんて、一番大事な時期だろ?
「僕、戻ります…、」
さすがに長居はできないので、さっさと退散しようと思い立ち上がるが傷が痛む。よろめいた僕を西園寺先輩が支えてくれた。
「ありがとうございます…、」
「座ってろ、危ない」
その二言だけだが、心配してくれてるのが見て取れた。大人しく、もう少しだけいさせてもらおう。少しすると授業の終わりを告げるチャイムがなる。
「じゃあ…、戻ります、」
「あ、何組?」
「……4組です」
なぜそんなこと聞くのか、クラスなて聞いて何か意味が?質問の意図を汲み取ろうと答えるのに数秒かかった。多分、これ以上、この人に関わることは無いだろう。
保健室を出ると、冷たい風が自分の顔を撫でる。急に強張っていた体の力が抜けたからなのか、怪我がジンジンとするのがよくわかる。
(早く戻らないと……)
怪我している足を引きずりながら歩く。
いつもより歩くスピードはゆっくりで、少し焦りが出てくる、
ただでさえ短い休み時間をこんなので潰すなんて最悪だ。
それより最悪なのは、遅刻して教室に入った時の周りに向けられる視線だ。あれだけは避けたい。
それでも、足は思うように動いてはくれない。誰かにゲームのように操作して欲しいくらいだ。
(何とか…間に合った…)
最悪な自体を避けることができたが、ずっと、西園寺先輩が頭の中にいる。気になるというよりは、あの人の質問への疑問が完全には消えさらない。単純に確認だろうか。そんな雰囲気ではなかったが、深くは考える必要なんてないのだろう。
※ ※ ※
午後の授業も終わり、帰る支度をする。周りは部活だので騒がしいが、俺には関係がない。それが普通。
「ねぇ」
どこかで聞いたような声が、耳に届いた。西園寺先輩だ。何か用だろうか、もしかして、保健室で何か気に障ることでもしたのだろうか。
「どうしました…?」
もしかしたら、このおどおどした態度が嫌だったなのだろうか、、
「一緒に帰らない?」
「え……?」
「だめ?」
今、なんて言った?一緒に帰る?僕と、先輩が、? なんで?
頭の中で、疑問ばかりが浮かび上がる。あの短時間で、俺はこの人になにかしたのだろうか、、西園寺先輩みたいなイケメンの隣を歩くには不釣り合い過ぎるのでは?こんなところ女子達に見られたらなんて言われるか。でも、先輩の誘いを断るのも気が引ける。ここは、大人しく一緒に帰るしか…
「いいですよ……」
とは言ったものの、会話がない。これは、俺がなにか話した方がいいのか?でも話題が……ない。
どうして、何も話さないの?
「あ、あの…、今日、ありがとうございました……」
「全然、大丈夫そう?」
「はい、大丈夫です、」
まぁ、まだ痛むけど、、
「そっか」
やっぱり、反応は薄い。そこまで興味は持ってないんだろうな。表情みても、何も読み取れないけど。多分、女子はこのクールな表情がいいんだろうな。僕にはわからないけど。
「優だっけ、名前」
「はい…そうです。」
「いい名前だよね」
「ありがとうございます…、西園寺先輩も名前かっこいいですね」
「そう?ありがとう」
あ、ちょっと笑った。褒めたからかな?
意外と単純?可愛とこあるんだな。
二人の影が伸びるほど、日は暮れてきた。ふと、後ろを振り返ると綺麗な夕日が炎のように燃えているように見えて、スマホを取り出した写真を撮った。自分のシャッター音と共に、もう一つシャッター音が聞こえた。西園寺先輩の方からだ。
「先輩、なにか撮ったんですか?」
「うん、優を撮った、可愛かったから」
そう言われ、顔が少し熱くなった。幸い、顔が赤いのは夕日のせいにできるが、いきなり何を言い出すんだこの人は、、僕を撮った、だけでよかっただろ。
なんで、可愛いなんて言うんだよ。
「可愛くないですよ……」
即座に否定する。僕のことを可愛いなんて、どう見えてるんだ?メガネで、いかにも陰キャなのに。
僕が否定すると、少しの沈黙ができた。その沈黙を断ち切ったのは、僕だった。
「僕、こっちなので、」
会釈をし、西園寺先輩に背を向け歩き出す。今、あの人がどんな顔をしているかなんて、俺にはわからない。
家に着くと 、フッと体の力が抜ける。
家には、誰にもいない。僕の親は、両親ともに出張が多いため、ほぼ家にはいない。一人暮らし状態だ。
一人にしては広すぎるこの家は、少し、寂しく感じてしまう。
「ただいま」
ポツリと呟いた言葉は、静寂に溶けていく。
もう、こんな生活には慣れたが、どうも癖で言ってしまう。何か、言葉が返ってくることなんてないのに。
人の慣れは、たまに怖いものだ。一人でも寂しくないと思うようになってしまった。それが、今の学校生活にも影響してるんだろうな。
けたたましいアラームで目を覚ます。カーテンの隙間から差す日が眩しい。朝が苦手な僕は、起き上がるのに時間がかかる。やっとの思いで起き上がり、朝ご飯と歯磨きを済ませ、学校に行く支度を済ませる。洗面所で軽く髪を直し家を出る。僕のモーニングルーティンなんて、誰も興味なんて持たないんだろうな。よく、動画で出てくる有名人のモーニングルーティンよりなにも特別なことなんてなく進んでいく。つまらない動画になりそうだ。
「あら、優ちゃんおはよう」
「おはよう、おばちゃん」
近所の人は、昔から僕の面倒を見てくれていた。両親が共働きでほとんど家にいない時、隣のおばちゃんが預かってくれていた。本当の祖母のようだ。
通学路を歩いていると、見えてきた校門の前に、西園寺先輩がいた。
「おはようございます……」
挨拶だけして、通り過ぎるつもりだったのに。
「一緒に行こ」
引き止められた。
一緒に……?
一緒にっていった?なんで?
「ダメ?」
「ダメじゃない……です…」
「よかった」
西園寺先輩って、あんまり笑わないから、感情が分からない。何考えてるんだろう。
「優って、俺の事嫌い?」
「え…そんなことないです…」
「怖い?」
「いえ…」
「じゃあ、好き?」
好き?西園寺先輩のことが?
話してまだ、二日くらいしか経ってないのに、好きって
でも、好きの意味って、いろいろあるし。先輩後輩としてかもだし。なんて答えればいいの?
「わからないです…」
これが今の 、最善の答えだった。
「そ、ごめん、変なこと聞いた」
「いえ…大丈夫です……」
「じゃあ、またね」
また…ね? え、またがあるの?
まぁ、一緒の学校だし、会うかもだけど……
また、絡まれるってこと? 嘘でしょ?
なんで昨日から、こんなに絡んでくるんだろう。今までは、ただの先輩後輩で、関わることなんてなかったのに。
「ゆーうっ!」
背後から自分を呼ぶ声が聞こえたのと同時に、肩が重くなる。
幼馴染の野上だ。
「おはよ」
「あの、イケメンって、」
「あー、西園寺先輩」
「優、仲良かったんだ」
「うーん……」
仲良いと言っても、昨日初めて話したけど。
「俺もあんなイケメンに」
「はいはい」
俺らに、あっちの世界は不釣り合い。交わることなんてない。
「冷たいぞ〜、優ちゃ〜ん 」
「うざっ」
こうやって、同じ世界の人の方が楽でいられる。
だから、あまり、あの人とは関わりたくない。
別にいい、静かに過ごせるのなら、それでいい。無駄に友達を作ろうとも、先輩たちに絡もうともしない。休み時間には自分の席で本を読み、帰宅部なので放課後は一人で帰る。もう、慣れたことだ。寂しくも、虚しくもない。
いや、虚しいかも。
「失礼します……」
体育の授業のサッカーでボールを踏み盛大にみんなの前でコケてしまった。恥ずかしい。
保健室に入ると、静かで、先生の姿も見えない。
職員室だろうか。足の怪我でどうにも歩く気にはなれず、近くにあった椅子に座った。
「誰…?」
背後から気だるそうな声が聞こえ、肩が跳ねる。
声のする方へ顔を向けると、制服のカッターシャツを第一ボタンまで開け、ネクタイは緩く、ピアスを付けている高身長のイケメンが立っていた。三年の西園寺 北斗だ。
なぜ、この人がここにいるのか。
「えっと…、体育で転んで、怪我しちゃって…」
とりあえず、用件を伝えてみる。サボりだと思われては悪印象だ。
「どこ?見せて?」
「え?」
「怪我、手当するから」
大人しく、怪我している足を出した。すると手際よく救急箱から消毒液と大きめの絆創膏を取り出し手当をしてくれた。なんだか、手馴れてるな。
「ありがとうございます…」
「君、名前は?」
「えっと、、二年の小鳥遊優です…」
「ふーん、」
聞いといて、その反応?
既に俺の中で良い印象はなかったが、先輩なので何も言えない。多分、保健室に誰が来たとかを伝えないといけないから聞いたとか、それだけの理由だろう。とは言っても、今は授業中だし、この人、サボりか?三年なんて、一番大事な時期だろ?
「僕、戻ります…、」
さすがに長居はできないので、さっさと退散しようと思い立ち上がるが傷が痛む。よろめいた僕を西園寺先輩が支えてくれた。
「ありがとうございます…、」
「座ってろ、危ない」
その二言だけだが、心配してくれてるのが見て取れた。大人しく、もう少しだけいさせてもらおう。少しすると授業の終わりを告げるチャイムがなる。
「じゃあ…、戻ります、」
「あ、何組?」
「……4組です」
なぜそんなこと聞くのか、クラスなて聞いて何か意味が?質問の意図を汲み取ろうと答えるのに数秒かかった。多分、これ以上、この人に関わることは無いだろう。
保健室を出ると、冷たい風が自分の顔を撫でる。急に強張っていた体の力が抜けたからなのか、怪我がジンジンとするのがよくわかる。
(早く戻らないと……)
怪我している足を引きずりながら歩く。
いつもより歩くスピードはゆっくりで、少し焦りが出てくる、
ただでさえ短い休み時間をこんなので潰すなんて最悪だ。
それより最悪なのは、遅刻して教室に入った時の周りに向けられる視線だ。あれだけは避けたい。
それでも、足は思うように動いてはくれない。誰かにゲームのように操作して欲しいくらいだ。
(何とか…間に合った…)
最悪な自体を避けることができたが、ずっと、西園寺先輩が頭の中にいる。気になるというよりは、あの人の質問への疑問が完全には消えさらない。単純に確認だろうか。そんな雰囲気ではなかったが、深くは考える必要なんてないのだろう。
※ ※ ※
午後の授業も終わり、帰る支度をする。周りは部活だので騒がしいが、俺には関係がない。それが普通。
「ねぇ」
どこかで聞いたような声が、耳に届いた。西園寺先輩だ。何か用だろうか、もしかして、保健室で何か気に障ることでもしたのだろうか。
「どうしました…?」
もしかしたら、このおどおどした態度が嫌だったなのだろうか、、
「一緒に帰らない?」
「え……?」
「だめ?」
今、なんて言った?一緒に帰る?僕と、先輩が、? なんで?
頭の中で、疑問ばかりが浮かび上がる。あの短時間で、俺はこの人になにかしたのだろうか、、西園寺先輩みたいなイケメンの隣を歩くには不釣り合い過ぎるのでは?こんなところ女子達に見られたらなんて言われるか。でも、先輩の誘いを断るのも気が引ける。ここは、大人しく一緒に帰るしか…
「いいですよ……」
とは言ったものの、会話がない。これは、俺がなにか話した方がいいのか?でも話題が……ない。
どうして、何も話さないの?
「あ、あの…、今日、ありがとうございました……」
「全然、大丈夫そう?」
「はい、大丈夫です、」
まぁ、まだ痛むけど、、
「そっか」
やっぱり、反応は薄い。そこまで興味は持ってないんだろうな。表情みても、何も読み取れないけど。多分、女子はこのクールな表情がいいんだろうな。僕にはわからないけど。
「優だっけ、名前」
「はい…そうです。」
「いい名前だよね」
「ありがとうございます…、西園寺先輩も名前かっこいいですね」
「そう?ありがとう」
あ、ちょっと笑った。褒めたからかな?
意外と単純?可愛とこあるんだな。
二人の影が伸びるほど、日は暮れてきた。ふと、後ろを振り返ると綺麗な夕日が炎のように燃えているように見えて、スマホを取り出した写真を撮った。自分のシャッター音と共に、もう一つシャッター音が聞こえた。西園寺先輩の方からだ。
「先輩、なにか撮ったんですか?」
「うん、優を撮った、可愛かったから」
そう言われ、顔が少し熱くなった。幸い、顔が赤いのは夕日のせいにできるが、いきなり何を言い出すんだこの人は、、僕を撮った、だけでよかっただろ。
なんで、可愛いなんて言うんだよ。
「可愛くないですよ……」
即座に否定する。僕のことを可愛いなんて、どう見えてるんだ?メガネで、いかにも陰キャなのに。
僕が否定すると、少しの沈黙ができた。その沈黙を断ち切ったのは、僕だった。
「僕、こっちなので、」
会釈をし、西園寺先輩に背を向け歩き出す。今、あの人がどんな顔をしているかなんて、俺にはわからない。
家に着くと 、フッと体の力が抜ける。
家には、誰にもいない。僕の親は、両親ともに出張が多いため、ほぼ家にはいない。一人暮らし状態だ。
一人にしては広すぎるこの家は、少し、寂しく感じてしまう。
「ただいま」
ポツリと呟いた言葉は、静寂に溶けていく。
もう、こんな生活には慣れたが、どうも癖で言ってしまう。何か、言葉が返ってくることなんてないのに。
人の慣れは、たまに怖いものだ。一人でも寂しくないと思うようになってしまった。それが、今の学校生活にも影響してるんだろうな。
けたたましいアラームで目を覚ます。カーテンの隙間から差す日が眩しい。朝が苦手な僕は、起き上がるのに時間がかかる。やっとの思いで起き上がり、朝ご飯と歯磨きを済ませ、学校に行く支度を済ませる。洗面所で軽く髪を直し家を出る。僕のモーニングルーティンなんて、誰も興味なんて持たないんだろうな。よく、動画で出てくる有名人のモーニングルーティンよりなにも特別なことなんてなく進んでいく。つまらない動画になりそうだ。
「あら、優ちゃんおはよう」
「おはよう、おばちゃん」
近所の人は、昔から僕の面倒を見てくれていた。両親が共働きでほとんど家にいない時、隣のおばちゃんが預かってくれていた。本当の祖母のようだ。
通学路を歩いていると、見えてきた校門の前に、西園寺先輩がいた。
「おはようございます……」
挨拶だけして、通り過ぎるつもりだったのに。
「一緒に行こ」
引き止められた。
一緒に……?
一緒にっていった?なんで?
「ダメ?」
「ダメじゃない……です…」
「よかった」
西園寺先輩って、あんまり笑わないから、感情が分からない。何考えてるんだろう。
「優って、俺の事嫌い?」
「え…そんなことないです…」
「怖い?」
「いえ…」
「じゃあ、好き?」
好き?西園寺先輩のことが?
話してまだ、二日くらいしか経ってないのに、好きって
でも、好きの意味って、いろいろあるし。先輩後輩としてかもだし。なんて答えればいいの?
「わからないです…」
これが今の 、最善の答えだった。
「そ、ごめん、変なこと聞いた」
「いえ…大丈夫です……」
「じゃあ、またね」
また…ね? え、またがあるの?
まぁ、一緒の学校だし、会うかもだけど……
また、絡まれるってこと? 嘘でしょ?
なんで昨日から、こんなに絡んでくるんだろう。今までは、ただの先輩後輩で、関わることなんてなかったのに。
「ゆーうっ!」
背後から自分を呼ぶ声が聞こえたのと同時に、肩が重くなる。
幼馴染の野上だ。
「おはよ」
「あの、イケメンって、」
「あー、西園寺先輩」
「優、仲良かったんだ」
「うーん……」
仲良いと言っても、昨日初めて話したけど。
「俺もあんなイケメンに」
「はいはい」
俺らに、あっちの世界は不釣り合い。交わることなんてない。
「冷たいぞ〜、優ちゃ〜ん 」
「うざっ」
こうやって、同じ世界の人の方が楽でいられる。
だから、あまり、あの人とは関わりたくない。

