「ねえ、そっちはどうだった? こっち……死ぬほど熱かったよ」
「男性もヤバいって。俺、肩まで入れなかったから」
やっぱり翔太の方も相当熱かったらしい。「もう別府のお湯はこりごりだ」と言い出す翔太に、お父さんが話かけた。
「ま、今日は別府特有の温泉の紹介って感じだな」
「どういうことよ」
「別府は、色々な源泉があるから……だって日本一だよ」
お母さんが笑いながら言う。どうやらすぐ横にある温泉でさえ、種類が違ったりするらしい。海に近い温泉は割と熱いお湯が多いみたい。
山の方に少し上がると、硫黄の香りが充満していて、そんなに熱くないお湯もあるって言っていた。「明礬温泉って言うんだよ」と教えてくれた。
「良いですねー、今度行ってみたいな」
ちょっと声を張って、わたしは言った。翔太の耳に入ると良いなと思いながら……。
「帰りはタクシーで帰ろうか」
「何で? 歩かないの?」
不思議そうにお父さんに尋ねる翔太に、微笑むようにお父さんが言った。
「ま……たぶん、もうちょっとしたら分かるんじゃないかな」
お父さんの予想は的中した。
大通りでタクシーを拾って、乗った所までは覚えている。でも乗っているうちに……ぼんやりとしてきて、どんどん意識が遠のいて行くのが分かった。
眠気なのか、体もだるい。
「天然だからね。お湯のパワーが凄いのよ」
「疲れが一気に出て来たんだろうね」
お母さんの声が、どこか遠くから聞こえてくる。
もうすでに頭がぽわっとして、「今すぐにでも寝てしまいたい」、そんな感覚だった。意識が遠のいて行くのを、わたしは必死に耐える。
「お湯あたり」っていうのもあるらしいけど、「たぶん違うと思う」ってお母さんは言った所までは何となく覚えている。
タクシーに乗って、ホテルの自動ドアをくぐった所までは覚えているけど……どれも断片的で、正直あまり覚えていない。
帰り道。疲れがどっと出ていて、体験したことの無い感覚。体育の授業で運動していても、小学生の頃に外で遊び過ぎても……ここまでダルくなることは無かった。
体は重たいのに……あまりにもほわっとして、気持ち良くて……部屋に入ると、そのままベッドで意識を失うように、眠ってしまったらしい。
「男性もヤバいって。俺、肩まで入れなかったから」
やっぱり翔太の方も相当熱かったらしい。「もう別府のお湯はこりごりだ」と言い出す翔太に、お父さんが話かけた。
「ま、今日は別府特有の温泉の紹介って感じだな」
「どういうことよ」
「別府は、色々な源泉があるから……だって日本一だよ」
お母さんが笑いながら言う。どうやらすぐ横にある温泉でさえ、種類が違ったりするらしい。海に近い温泉は割と熱いお湯が多いみたい。
山の方に少し上がると、硫黄の香りが充満していて、そんなに熱くないお湯もあるって言っていた。「明礬温泉って言うんだよ」と教えてくれた。
「良いですねー、今度行ってみたいな」
ちょっと声を張って、わたしは言った。翔太の耳に入ると良いなと思いながら……。
「帰りはタクシーで帰ろうか」
「何で? 歩かないの?」
不思議そうにお父さんに尋ねる翔太に、微笑むようにお父さんが言った。
「ま……たぶん、もうちょっとしたら分かるんじゃないかな」
お父さんの予想は的中した。
大通りでタクシーを拾って、乗った所までは覚えている。でも乗っているうちに……ぼんやりとしてきて、どんどん意識が遠のいて行くのが分かった。
眠気なのか、体もだるい。
「天然だからね。お湯のパワーが凄いのよ」
「疲れが一気に出て来たんだろうね」
お母さんの声が、どこか遠くから聞こえてくる。
もうすでに頭がぽわっとして、「今すぐにでも寝てしまいたい」、そんな感覚だった。意識が遠のいて行くのを、わたしは必死に耐える。
「お湯あたり」っていうのもあるらしいけど、「たぶん違うと思う」ってお母さんは言った所までは何となく覚えている。
タクシーに乗って、ホテルの自動ドアをくぐった所までは覚えているけど……どれも断片的で、正直あまり覚えていない。
帰り道。疲れがどっと出ていて、体験したことの無い感覚。体育の授業で運動していても、小学生の頃に外で遊び過ぎても……ここまでダルくなることは無かった。
体は重たいのに……あまりにもほわっとして、気持ち良くて……部屋に入ると、そのままベッドで意識を失うように、眠ってしまったらしい。



