「ちょっと! 凄い!」
「赤なんだろう」ともちろん予想していた。みんな話をしていたから。でも、想像以上の大きさだし、やっぱり目の前に真っ赤な池が現れると……声を上げてしまった。
「これ……凄くないですか?」
まさに「地獄」だった。深紅を超えて、どす黒いような赤。硫黄の香りはそれほどじゃ無いけれど、ゴポン、ゴポンと赤い池から破裂するように泡立つ表面。
「これは凄い」
表面にじっと視線を向けたまま、翔太も呟く。思わずスマホで写真を撮っていた。
「久し振りに見たけど、ここはやっぱり凄いな」
後ろに腕を回しながら、周囲を歩くお父さん。ぐるりと周囲を見渡しながら言った。
さっきタクシーの運転手さんが言っていた。この血の池地獄は奈良時代からあるらしい。1300年も前。酸化鉄や、酸化マグネシウムなどが含まれているから、真っ赤に見えるんだそうだ。
翔太もわたしも、想像を越えた「赤」に、言葉を失っていた。
「あっちに足湯があるよ」
タクシーの時間もある。お父さんに誘われて真っ赤な景色から離れて、足湯に行ってみる。
足湯を体験できる場所は、綺麗に作り直されていて、こっちも沢山の観光客が楽しそうに足を漬けている。わたし達もズボンを膝まで捲り上げて、入ってみることにした。
(わあ、……気持ち良い……)
お湯自体は、相当熱いらしい。でも足首からちょっと上まで浸かっているだけだから、温度はちょうど良かった。
「別府はね、お湯が熱いんだよ。足だけの方がちょうど良いかもね」
ゆったり3人で足をお湯に漬けていると、お父さんが教えてくれる。朝からバスや飛行機に乗っていたから……ほんのり疲れが取れるような気がした。
「この後、どうするんですか?」
「タクシーでホテルに帰るよ。母さんが戻ってるはずだから」
みんなで晩ご飯を食べてから、温泉に行く。この後のプラン。
「さっきも言ったけど……別府は温泉、熱いからね」と言っているお父さんの言葉が耳に残る。
「熊本よりも温泉は多いよ。日本一だから。でもね……とにかく、熱い」
苦笑いするように、お父さんは繰り返した。
優しい運転手さんの所まで戻り、タクシーに乗り込む。海地獄と血の池地獄を巡って、わたし達の『地獄巡り』は終わった。
「本当は、あと5つあるんですよね」
前に座っているお父さん、そして運転手さんに向けて、わたしは言葉を投げかける。
「そうだね。本当はもっと体験して欲しいものもあるんだよね」
「そうなんですか?」
「地獄蒸しとかね」
「地獄蒸し?」
時間の都合で難しいらしいけど、「母さんに相談してみるか。せっかく来たし」と、お父さんは1人、呟いていた。
もうもうと高く立ち上る、白い湯気。あっちもこっちも……いたる所から、白い噴煙が上がって、風情は最高。
(良かったな。いつか……翔太と、もっとゆっくり来れると良いな)
遠ざかっていく白い噴煙を見つめながら、わたしはぼんやりと考えていた。
「赤なんだろう」ともちろん予想していた。みんな話をしていたから。でも、想像以上の大きさだし、やっぱり目の前に真っ赤な池が現れると……声を上げてしまった。
「これ……凄くないですか?」
まさに「地獄」だった。深紅を超えて、どす黒いような赤。硫黄の香りはそれほどじゃ無いけれど、ゴポン、ゴポンと赤い池から破裂するように泡立つ表面。
「これは凄い」
表面にじっと視線を向けたまま、翔太も呟く。思わずスマホで写真を撮っていた。
「久し振りに見たけど、ここはやっぱり凄いな」
後ろに腕を回しながら、周囲を歩くお父さん。ぐるりと周囲を見渡しながら言った。
さっきタクシーの運転手さんが言っていた。この血の池地獄は奈良時代からあるらしい。1300年も前。酸化鉄や、酸化マグネシウムなどが含まれているから、真っ赤に見えるんだそうだ。
翔太もわたしも、想像を越えた「赤」に、言葉を失っていた。
「あっちに足湯があるよ」
タクシーの時間もある。お父さんに誘われて真っ赤な景色から離れて、足湯に行ってみる。
足湯を体験できる場所は、綺麗に作り直されていて、こっちも沢山の観光客が楽しそうに足を漬けている。わたし達もズボンを膝まで捲り上げて、入ってみることにした。
(わあ、……気持ち良い……)
お湯自体は、相当熱いらしい。でも足首からちょっと上まで浸かっているだけだから、温度はちょうど良かった。
「別府はね、お湯が熱いんだよ。足だけの方がちょうど良いかもね」
ゆったり3人で足をお湯に漬けていると、お父さんが教えてくれる。朝からバスや飛行機に乗っていたから……ほんのり疲れが取れるような気がした。
「この後、どうするんですか?」
「タクシーでホテルに帰るよ。母さんが戻ってるはずだから」
みんなで晩ご飯を食べてから、温泉に行く。この後のプラン。
「さっきも言ったけど……別府は温泉、熱いからね」と言っているお父さんの言葉が耳に残る。
「熊本よりも温泉は多いよ。日本一だから。でもね……とにかく、熱い」
苦笑いするように、お父さんは繰り返した。
優しい運転手さんの所まで戻り、タクシーに乗り込む。海地獄と血の池地獄を巡って、わたし達の『地獄巡り』は終わった。
「本当は、あと5つあるんですよね」
前に座っているお父さん、そして運転手さんに向けて、わたしは言葉を投げかける。
「そうだね。本当はもっと体験して欲しいものもあるんだよね」
「そうなんですか?」
「地獄蒸しとかね」
「地獄蒸し?」
時間の都合で難しいらしいけど、「母さんに相談してみるか。せっかく来たし」と、お父さんは1人、呟いていた。
もうもうと高く立ち上る、白い湯気。あっちもこっちも……いたる所から、白い噴煙が上がって、風情は最高。
(良かったな。いつか……翔太と、もっとゆっくり来れると良いな)
遠ざかっていく白い噴煙を見つめながら、わたしはぼんやりと考えていた。



