お昼。机をガタガタと動かして、小さなブロックを作り上げる。隣の席の優香ちゃんと、席替えをして以来ずっとお昼は一緒に食べるようになった。
「夏休み、近いねー。真帆ちゃん、何かするの?」
おにぎりに巻いてるサランラップをはがしていると、優香ちゃんが尋ねてくる。赤いお弁当箱が印象的。
「いや、何もしないと思う」
「バイトも?」
「……うん。何も考えてないな」
「そっか。私、どうしよっかな」
優香ちゃんも帰宅部。カレシのいない人は、高1の夏休みにやることなんて、何も無い。こっそり隠れてやる短期のアルバイトくらい。
(……もう夏休みか)
きっとわたしは「毎日だらだらと過ごしてそうだなぁ」と思いながら、おにぎりを小さく頬張った。
「何だよ、何の話?」
突然後ろから、翔太が声をかけてくる。思わずどきりとしてしまった。「夏休みに暇だと思われたくない」という思いが、どこかにあるような気がした。
「……別に、何でも無いよ」
視線だけ翔太に向けながら、わたしは答えた。
「ちょっとハスキーで優しい声だよね」みんな翔太の声を聞くと、こうやって言う。わたしとは違う。
小学生の頃からずっと聞いている声だからなのか……わたしにはハスキーに聞こえない。ちょっとだけ高くて、明るい。きっと最初の時の翔太が、ずっとわたしの耳に残り続けている。
「翔太こそ、何よ。隠れて聞くのはマナー違反なんだけど?」
「いや、食堂に行くトコだったんだって」
そう言うと、「じゃね」と手のひらを軽く振りながら、健人くんと一緒に廊下へと走って行ってしまった。
(何よ。……どきっとしたじゃん)
本音はもっと話をしたい。もちろん、優香ちゃんもいるし、昼休みで周りの人達の視線もあるし……それはできないけど。
「良いね!」
落ち着きを取り戻しながら、おにぎりを食べようとした時に、後ろからまた声が届く。振り返ると希ちゃんだった。ちょっと微笑みながら、わたしの肩にポンと手を置く。
「何? 何が『良いね』なの」
「えっ? いや、別に?」
意味ありげに、微笑む希ちゃん。「朝の続きだよ」と言わんばかりの表情で、わたしの目を軽く見つめる。
「さ、行かなきゃなー」
廊下に向かって、さっと向きを変える。早々にお昼ご飯を食べ終えて、昼練習に向かうのが、吹奏楽部の日常。それ以上は何も言うこと無く、足早に練習へと向かって行った。
(止めてよ……こんなトコで……)
ちょっと背筋を丸くして、周囲に目を向ける。みんな楽しそうに話しをしながらお昼休みを過ごしていた。……ただ1人を除いて。
「何? ……今の」
「えっ?」
箸を持ったまま動きを止めている優香ちゃん。きょとんとした顔で、わたしにボソリと尋ねてきた――。
「夏休み、近いねー。真帆ちゃん、何かするの?」
おにぎりに巻いてるサランラップをはがしていると、優香ちゃんが尋ねてくる。赤いお弁当箱が印象的。
「いや、何もしないと思う」
「バイトも?」
「……うん。何も考えてないな」
「そっか。私、どうしよっかな」
優香ちゃんも帰宅部。カレシのいない人は、高1の夏休みにやることなんて、何も無い。こっそり隠れてやる短期のアルバイトくらい。
(……もう夏休みか)
きっとわたしは「毎日だらだらと過ごしてそうだなぁ」と思いながら、おにぎりを小さく頬張った。
「何だよ、何の話?」
突然後ろから、翔太が声をかけてくる。思わずどきりとしてしまった。「夏休みに暇だと思われたくない」という思いが、どこかにあるような気がした。
「……別に、何でも無いよ」
視線だけ翔太に向けながら、わたしは答えた。
「ちょっとハスキーで優しい声だよね」みんな翔太の声を聞くと、こうやって言う。わたしとは違う。
小学生の頃からずっと聞いている声だからなのか……わたしにはハスキーに聞こえない。ちょっとだけ高くて、明るい。きっと最初の時の翔太が、ずっとわたしの耳に残り続けている。
「翔太こそ、何よ。隠れて聞くのはマナー違反なんだけど?」
「いや、食堂に行くトコだったんだって」
そう言うと、「じゃね」と手のひらを軽く振りながら、健人くんと一緒に廊下へと走って行ってしまった。
(何よ。……どきっとしたじゃん)
本音はもっと話をしたい。もちろん、優香ちゃんもいるし、昼休みで周りの人達の視線もあるし……それはできないけど。
「良いね!」
落ち着きを取り戻しながら、おにぎりを食べようとした時に、後ろからまた声が届く。振り返ると希ちゃんだった。ちょっと微笑みながら、わたしの肩にポンと手を置く。
「何? 何が『良いね』なの」
「えっ? いや、別に?」
意味ありげに、微笑む希ちゃん。「朝の続きだよ」と言わんばかりの表情で、わたしの目を軽く見つめる。
「さ、行かなきゃなー」
廊下に向かって、さっと向きを変える。早々にお昼ご飯を食べ終えて、昼練習に向かうのが、吹奏楽部の日常。それ以上は何も言うこと無く、足早に練習へと向かって行った。
(止めてよ……こんなトコで……)
ちょっと背筋を丸くして、周囲に目を向ける。みんな楽しそうに話しをしながらお昼休みを過ごしていた。……ただ1人を除いて。
「何? ……今の」
「えっ?」
箸を持ったまま動きを止めている優香ちゃん。きょとんとした顔で、わたしにボソリと尋ねてきた――。



