「どうしたんですか?」
不穏な表情をしている訳でも無い。それに……お父さんにはたまたま会っただけ。前もって約束をしていた訳じゃ無い。「変な話じゃ無いと思うけど」と思いながら、お父さんに投げかける。
「実はね」
買い物袋をゆっくりと地面に置いて、優しい口調でお父さんが話始めた。わたしも耳を傾ける。
「真帆ちゃんが……予定無ければ、なんだけど」
(予定? ……何だろう?)
「夏休み。翔太やお母さんと、ちょっと旅行に行くんだけどね。もし良かったら……どうかなって思って」
「旅行!? ですか?」
あまりに予想だにしない言葉に、思わずわたしは大きな声を出してしまう。周囲を歩いているお客さん達が、一瞬わたしに視線を向けた。
……恥ずかしくなって、思わず背中を丸くした。
「そう。いきなりで驚くよね。ごめんね」と言って、お父さんは続けた。
わたしは何だか徐々に緊張してきて……胸がどきどきしていることに気が付いた。
(……旅行? 翔太とってことだよね……)
「僕が熊本の出身で、母さんが大分の出身なんだよ。それで……夏休みに、ちょっと実家に戻ろうかって話が出ててね」
「それで、真帆ちゃんも……予定が合えば、どうかなって」
「えっ? 九州……ってことですか?」
次々に出てくる、考えてもいなかった言葉。さっきとは違い、小声でお父さんに質問する。頭の中は真っ白になっていた。
「そう。どっちにするかはまだ決めて無いんだけど……僕は母さんを実家に連れて行ってあげたいから、大分が良いなって思ってるんだ」
「お母さん、大分……なんですね」
「うん。翔太も本当に小さい頃に行ったきりだし」
「でも……皆さんで行くのに、わたしが一緒だと……」
夏の家族旅行。わたしが付いていくのは野暮に決まっていると思った。お母さんには少額の頃以来、会っていないし。
「母さんがさ、真帆ちゃんのこと……大好きなんだよ。もちろん僕もだけど」
「えっ?」
「ちょうど昨日の夜も、『真帆ちゃんと一緒に行けたら良いのにね』って。母さん言ってたくらいだよ」
「そうなんですか?」
「本当だよ。で、今日……偶然真帆ちゃんに、ここで会ったっていう流れなんだよ。そりゃ……声かけないとなって思うじゃない?」
お父さんは笑った。お母さんがそう想い続けてくれているのは、凄く嬉しい。家でそんな話をしてくれて、次の日にこんな偶然ってあるんだ……。わたしは何も言い返すことができなくなった。
不穏な表情をしている訳でも無い。それに……お父さんにはたまたま会っただけ。前もって約束をしていた訳じゃ無い。「変な話じゃ無いと思うけど」と思いながら、お父さんに投げかける。
「実はね」
買い物袋をゆっくりと地面に置いて、優しい口調でお父さんが話始めた。わたしも耳を傾ける。
「真帆ちゃんが……予定無ければ、なんだけど」
(予定? ……何だろう?)
「夏休み。翔太やお母さんと、ちょっと旅行に行くんだけどね。もし良かったら……どうかなって思って」
「旅行!? ですか?」
あまりに予想だにしない言葉に、思わずわたしは大きな声を出してしまう。周囲を歩いているお客さん達が、一瞬わたしに視線を向けた。
……恥ずかしくなって、思わず背中を丸くした。
「そう。いきなりで驚くよね。ごめんね」と言って、お父さんは続けた。
わたしは何だか徐々に緊張してきて……胸がどきどきしていることに気が付いた。
(……旅行? 翔太とってことだよね……)
「僕が熊本の出身で、母さんが大分の出身なんだよ。それで……夏休みに、ちょっと実家に戻ろうかって話が出ててね」
「それで、真帆ちゃんも……予定が合えば、どうかなって」
「えっ? 九州……ってことですか?」
次々に出てくる、考えてもいなかった言葉。さっきとは違い、小声でお父さんに質問する。頭の中は真っ白になっていた。
「そう。どっちにするかはまだ決めて無いんだけど……僕は母さんを実家に連れて行ってあげたいから、大分が良いなって思ってるんだ」
「お母さん、大分……なんですね」
「うん。翔太も本当に小さい頃に行ったきりだし」
「でも……皆さんで行くのに、わたしが一緒だと……」
夏の家族旅行。わたしが付いていくのは野暮に決まっていると思った。お母さんには少額の頃以来、会っていないし。
「母さんがさ、真帆ちゃんのこと……大好きなんだよ。もちろん僕もだけど」
「えっ?」
「ちょうど昨日の夜も、『真帆ちゃんと一緒に行けたら良いのにね』って。母さん言ってたくらいだよ」
「そうなんですか?」
「本当だよ。で、今日……偶然真帆ちゃんに、ここで会ったっていう流れなんだよ。そりゃ……声かけないとなって思うじゃない?」
お父さんは笑った。お母さんがそう想い続けてくれているのは、凄く嬉しい。家でそんな話をしてくれて、次の日にこんな偶然ってあるんだ……。わたしは何も言い返すことができなくなった。



