「何かさ、アーケードから10分くらいなんだよ」
「さっきバスから見えなかったっけ?」
お店を出て、スマホを見ながら歩く。降りたバス停の方面に歩きながら、翔太が言った。
「いや……気付かなかったな。バスから見えたかな」
ホテルに荷物を置いて、ようやく落ち着いた。それまではずっと緊張していたから、気付いていないだけかも知れない。
「へぇ」
スマホを覗き込むように、翔太が呟く。
「……何?」
「いや、熊本城って『日本3大名城』らしい」
「そんな有名なんだ」
「諸説あるっぽいけど……熊本城は入ってるらしい」
「あっ! お城!」
アーケードの中間地点から、左側にお城が見える。街中の景色にお城。まさに歩けばすぐそこに、お城がある……。横浜には無い景色。
漆黒の瓦に、雄大な佇まい。言葉を出すことができず、ただ茫然と眺めることしかできない。
「本当だね、すぐそこにあるじゃん……」
「雰囲気、あるね」
歩いて行ける距離に驚きながら、わたし達はお城へと近づいて行った――。
――
5分ほど歩けば、お城の敷地に到着する。見上げた坂道を上って行くと、その先に城内への入口があるらしかった。
「坂、上るんだ」
思わず口にしてしまったけれど、「学校の坂と比べれば……」と思った。緩い上りで、勾配はあまり無い。
「汗、かかないように行こう」
わたしの心配していることを口にしてくれる、翔太。わたしは笑顔で頷いて、ゆっくりと歩みを進めて行く。
「ね、あそこから人……いっぱい出てくるね」
手を扇のように振りながら、坂道を上る。途中まで行った所で、左の道の方から、人が出入りしているのが目に入った。
「何だろう。お店でもあるのかな」
「ね! ちょっと行ってみて良い?」
暑さのせいなのか、ぼんやり見ている翔太に声をかけ、わたし達は道を外れて左側へと進んで行く。出てくる人達の表情は、みんな明るく見えた。
「ちょっと、ちょっと! お店あるよ!」
うだるような暑さ。そして緩いとはいえ、坂道。「ちょっと歩くのキツいな」と思っていたわたしは、思わず大きな声を出す。翔太も疲れてるように見えた。
「……本当だ」
「翔太、ちょっと寄って行こうよ」
『桜の小路』
「桜の小路だって! 素敵な名前じゃない!」
「桜」の文字が、わたしのテンションを上げた。優しく、穏やかなイメージがあるあるから。
「色々なお店、あるね」
「本当だ……。色々あるじゃん。ていうか、人の数、凄いな……」
入口中央に立っていると、満員電車のように、人に押し出されそうになる。思わず右側に避けたわたし達は、じっと周囲に目を向けた。ソフトクリームの看板をはじめ、お土産屋さんなど色々と揃っているようだった。
「わたし、ソフトクリーム食べたいな……翔太も食べようよ」
「んっ? あぁ」
看板の横にあるベンチ。言葉数が少なくなった翔太に座ってもらうと「……キツい」とだけ言って、目を瞑り出した。
「……大丈夫?」
「ん? ありがとう。ちょっと休めば大丈夫かな」
「暑すぎるよね……」
「ね。こりゃ、やられるよ」
「ちょっと待ってて! わたし……ソフトクリーム買ってくるから。翔太にはお水買ってくるよ」
そう言ってわたしは、自動販売機へと向かって歩き出した。
「さっきバスから見えなかったっけ?」
お店を出て、スマホを見ながら歩く。降りたバス停の方面に歩きながら、翔太が言った。
「いや……気付かなかったな。バスから見えたかな」
ホテルに荷物を置いて、ようやく落ち着いた。それまではずっと緊張していたから、気付いていないだけかも知れない。
「へぇ」
スマホを覗き込むように、翔太が呟く。
「……何?」
「いや、熊本城って『日本3大名城』らしい」
「そんな有名なんだ」
「諸説あるっぽいけど……熊本城は入ってるらしい」
「あっ! お城!」
アーケードの中間地点から、左側にお城が見える。街中の景色にお城。まさに歩けばすぐそこに、お城がある……。横浜には無い景色。
漆黒の瓦に、雄大な佇まい。言葉を出すことができず、ただ茫然と眺めることしかできない。
「本当だね、すぐそこにあるじゃん……」
「雰囲気、あるね」
歩いて行ける距離に驚きながら、わたし達はお城へと近づいて行った――。
――
5分ほど歩けば、お城の敷地に到着する。見上げた坂道を上って行くと、その先に城内への入口があるらしかった。
「坂、上るんだ」
思わず口にしてしまったけれど、「学校の坂と比べれば……」と思った。緩い上りで、勾配はあまり無い。
「汗、かかないように行こう」
わたしの心配していることを口にしてくれる、翔太。わたしは笑顔で頷いて、ゆっくりと歩みを進めて行く。
「ね、あそこから人……いっぱい出てくるね」
手を扇のように振りながら、坂道を上る。途中まで行った所で、左の道の方から、人が出入りしているのが目に入った。
「何だろう。お店でもあるのかな」
「ね! ちょっと行ってみて良い?」
暑さのせいなのか、ぼんやり見ている翔太に声をかけ、わたし達は道を外れて左側へと進んで行く。出てくる人達の表情は、みんな明るく見えた。
「ちょっと、ちょっと! お店あるよ!」
うだるような暑さ。そして緩いとはいえ、坂道。「ちょっと歩くのキツいな」と思っていたわたしは、思わず大きな声を出す。翔太も疲れてるように見えた。
「……本当だ」
「翔太、ちょっと寄って行こうよ」
『桜の小路』
「桜の小路だって! 素敵な名前じゃない!」
「桜」の文字が、わたしのテンションを上げた。優しく、穏やかなイメージがあるあるから。
「色々なお店、あるね」
「本当だ……。色々あるじゃん。ていうか、人の数、凄いな……」
入口中央に立っていると、満員電車のように、人に押し出されそうになる。思わず右側に避けたわたし達は、じっと周囲に目を向けた。ソフトクリームの看板をはじめ、お土産屋さんなど色々と揃っているようだった。
「わたし、ソフトクリーム食べたいな……翔太も食べようよ」
「んっ? あぁ」
看板の横にあるベンチ。言葉数が少なくなった翔太に座ってもらうと「……キツい」とだけ言って、目を瞑り出した。
「……大丈夫?」
「ん? ありがとう。ちょっと休めば大丈夫かな」
「暑すぎるよね……」
「ね。こりゃ、やられるよ」
「ちょっと待ってて! わたし……ソフトクリーム買ってくるから。翔太にはお水買ってくるよ」
そう言ってわたしは、自動販売機へと向かって歩き出した。



