「……ばいばい。優香ちゃん、ありがとう」
「うん。……上手くやるんだよ? 応援してるから」
磯子駅のホームに降り立つと、翔太の姿は見えない。先頭車両近くに乗っていたから、すぐに階段を上って改札口に向かっているらしかった。
(急がなきゃ……)
改札口を出たら、別にバスに乗ってしまう訳じゃ無かったけれど、「ちょっとでも話したい……」と思ったわたしは、急いで翔太の背中を追った。
――
(あ……もうすぐ曲がっちゃう)
改札を出て、右に曲がる。ずっと続く1本道を翔太は歩いていた。左に曲がってしまう前に追いつこうと、わたしは早足で距離を詰めていく。
(もう、少し……ちょっと走ろうかな……)
カン、カン、カン……とローファーの音が響く歩道橋。最後は少しだけ走って、翔太の背中に追いついた。
(緊張しちゃう前に……)
勢いそのままに、「ねえ」とだけ背中に向かって声をかけた。
「ん? あぁ……真帆じゃん」
きょとんとした顔で、肩で息をするわたしに向かって、声をかける。息を整えながら「待ってよ」とだけ、わたしは呟いた――。
――
「親がさ、あんな感じで言うなんて……俺、驚いたよ」
「……そうなんだ」
「うん。旅行に行くのは、決めてたんだけどね」
いつもと帰る方向をちょっと変えて、車の通りが少ない道を、2人で歩く。走った勢いで翔太に声をかけることができたから……もう緊張はしていない。
「わたし……あの時さ、勢いで返事しちゃったけど……行っても良いのかな」
翔太に、わたしの想いを素直にぶつけてみた。もちろん断ることは無いのは分かっている。でも……何故だか翔太の言葉が、聞きたかった。
「……良いじゃん。行こうよ」
少しだけ微笑んだように見えた。穏やかな声色で、わたしに向かって言ってくれた――。
「実はさ、あの時はまだ、どっちに行くか迷ってたんだよ」
「迷う? 何に?」
「ん? お父さんは熊本から横浜に来たらしいんだけど……お母さんは大分なんだ」
「大分? 大分って……九州だよね?」
「そう。隣同士なんだよ。だから夏休み、どっち行くか……あの時、まだ迷ってたらしい」
久し振りに、翔太と沢山話をしていると、わたしは小学6年生の時のことを急に思い出していた。
(毎日、学校から一緒に帰ってたな……)
「今も違和感無いな……」と思い、変な緊張はすでに治まっていた。
「そうだったんだ」
「そう。真帆が来たから……お母さん、勢いで決めたんじゃないかな。お父さんの田舎に行こう!みたいな」
「そうか……そういうことだったんだ」
「うん。真帆と久し振りに会えて……テンション上がってたんじゃない?」
活き活きして見えたお母さん。「わたしをお店の前で見つけてくれて、嬉しくなってくれたのかな」と、翔太の話を聞いて……何だかわたしも嬉しくなった。
(そうなんだ……翔太のお母さん達と一緒に、行きたくなってきたな……)
歩きながら翔太の話を聞いて、思わずわたしも穏やかな表情になることができた――。
「うん。……上手くやるんだよ? 応援してるから」
磯子駅のホームに降り立つと、翔太の姿は見えない。先頭車両近くに乗っていたから、すぐに階段を上って改札口に向かっているらしかった。
(急がなきゃ……)
改札口を出たら、別にバスに乗ってしまう訳じゃ無かったけれど、「ちょっとでも話したい……」と思ったわたしは、急いで翔太の背中を追った。
――
(あ……もうすぐ曲がっちゃう)
改札を出て、右に曲がる。ずっと続く1本道を翔太は歩いていた。左に曲がってしまう前に追いつこうと、わたしは早足で距離を詰めていく。
(もう、少し……ちょっと走ろうかな……)
カン、カン、カン……とローファーの音が響く歩道橋。最後は少しだけ走って、翔太の背中に追いついた。
(緊張しちゃう前に……)
勢いそのままに、「ねえ」とだけ背中に向かって声をかけた。
「ん? あぁ……真帆じゃん」
きょとんとした顔で、肩で息をするわたしに向かって、声をかける。息を整えながら「待ってよ」とだけ、わたしは呟いた――。
――
「親がさ、あんな感じで言うなんて……俺、驚いたよ」
「……そうなんだ」
「うん。旅行に行くのは、決めてたんだけどね」
いつもと帰る方向をちょっと変えて、車の通りが少ない道を、2人で歩く。走った勢いで翔太に声をかけることができたから……もう緊張はしていない。
「わたし……あの時さ、勢いで返事しちゃったけど……行っても良いのかな」
翔太に、わたしの想いを素直にぶつけてみた。もちろん断ることは無いのは分かっている。でも……何故だか翔太の言葉が、聞きたかった。
「……良いじゃん。行こうよ」
少しだけ微笑んだように見えた。穏やかな声色で、わたしに向かって言ってくれた――。
「実はさ、あの時はまだ、どっちに行くか迷ってたんだよ」
「迷う? 何に?」
「ん? お父さんは熊本から横浜に来たらしいんだけど……お母さんは大分なんだ」
「大分? 大分って……九州だよね?」
「そう。隣同士なんだよ。だから夏休み、どっち行くか……あの時、まだ迷ってたらしい」
久し振りに、翔太と沢山話をしていると、わたしは小学6年生の時のことを急に思い出していた。
(毎日、学校から一緒に帰ってたな……)
「今も違和感無いな……」と思い、変な緊張はすでに治まっていた。
「そうだったんだ」
「そう。真帆が来たから……お母さん、勢いで決めたんじゃないかな。お父さんの田舎に行こう!みたいな」
「そうか……そういうことだったんだ」
「うん。真帆と久し振りに会えて……テンション上がってたんじゃない?」
活き活きして見えたお母さん。「わたしをお店の前で見つけてくれて、嬉しくなってくれたのかな」と、翔太の話を聞いて……何だかわたしも嬉しくなった。
(そうなんだ……翔太のお母さん達と一緒に、行きたくなってきたな……)
歩きながら翔太の話を聞いて、思わずわたしも穏やかな表情になることができた――。



