恋といえばあれとそれとこれ。

恋した。
本当に初めての恋だったんです。
『俺、好きなんだ、お前のことが』
『私も…』
二人は熱い口付けを交わす。

私が今現在恋をしているのは、小説「甘い口付けて過ごしましょう。」の主人公の彼氏だ。
頭が良くて、テストは常に学年一位。でも、優しくて強い。スポーツもできる。
私の憧れの人だ。彼氏にするなら、こんな人がいい。
(今日もかっこよかった…)
小説を片手に持ちながらそう思う。確かに、今日のシーンは何よりも一番好きなところだ。
「こんな彼氏…できないかなぁ…」
そうつぶやくと、スマホが振動する。幼馴染からの連絡だった。
[おい、オタク。宿題の答え見せろ]
文面にはそう書いてあった。私は容赦なく、
[自分でやれ]
と送る。私の周りの人が、もっと小説に出てくるような人だったらよかったのに。何度思っても叶うことのない願いだが。
「さて、頑張るか」
私はとりあえず気合いを入れた。