恋といえばあれとそれとこれ。

「んーんーん〜」
鼻歌を歌いながら、歩く道。歌を歌っていると、全てが明るく見える。
私は歌が大好きだ。歌うことも聞くことも。
だけど、毎朝、私の気分を害する人が立っている。
彼だ。彼は今日も道に立っている。
「お、はよー」
私は速攻無視する。
彼と話したくないからだ。
(てか、毎朝待ち伏せってストーカーかよ……)
私が心の中でそう呟くと、彼が横に立って私の手を取ってくる。
「一緒に行こう?」
「嫌です」
朝の気分を害されたくないのと、関わりたくないという気持ちが混ざって、冷たい返事になる。
すると、彼は、
「え、行こう?」
ともう一度聞いてきた。
(うわ…粘着質系……)
キモッと心の中で叫ぶ。粘着質な男は私が大嫌いなジャンルの一人。こういう男には何言っても聞かない。私は諦める。
「はぁ…」
ため息をすると、彼が、
「どうしたの?大丈夫?話聞くよ?」
と言ってくる。私は再度ため息をつく。
(お前のことでため息してんだよ……)
心の中で愚痴る。結局は届かないが。すると、彼は真剣な目でこちらを見てくる。
「俺、ずっと好きだったんだ。今日、初めて振り向いてくれた。俺、大分本気だから」
真正面からそう言われる。私はわずかにドキッとしてしまう。
(ドキッてなんだよ!)