ワンルーム、きみと小さな海をみる



「キミ、アオさんのおともだち?」

「うげーそんなわけないじゃん!ヤクザと友達とかありえないし!」

「??やくざ?」



そうだよ!とヒトの子はまっすぐこちらを指さしてくる。

なんだかわからないけれど、その指先には純真な悪意のようなものが込められている気がした。




「そこってヤクザの家なんでしょー!ままが言ってた!」

「違うよ。ここはアオさんの家だよ」

「だからそいつがヤクザってこと!ヤクザ知んない?あのねーヤクザはぁ、人をだましたり脅したりしてお金を稼ぐ悪いやつ!」



えーとあとなんだっけ、と男の子は小首をかしげる。




「あ、そうだ!生きてる価値がなくて、しゃかいのゴミとかで、出来損ない!」

「……!」

「だから、だからね、エロ女もヤクザの女なら──」





────バシャッ、


頭の先からつま先までびしょぬれになったヒトの子は、何が起こったのかわからず魚のように口をパクパクさせていた。




「アオさんはわたしとは違う。出来損ないなんかじゃない」



ぽた、ぽた、と水が滴る尾びれ。

その鱗1枚1枚がまるで逆立つような感覚になる。


それはヒトの子が立ち去った後も、しばらくのあいだ治まらなかった。