新見の皮は流暢な発言

 岡山旅行に行った際、ケンサクにカプセルホテルに閉じ込められた。一人で観光したいから着いてくるなと言う。北区の繁華街付近のカプセルホテルだったと思う。なんせ、いきなりここにいろと命じるのだから従うほかない。ケンサクは本家の長男、私は分家の長男だ。田舎にはいまだに本家や分家など時代錯誤な世界が存在している。ちなみにケンサクの屋号は「本宅」。うちの屋号は「新宅」だ。私が住む集落は鈴木さんばかりなので屋号で呼んだ方が早い。香典なども屋号に名前が書かれていることがほとんどだ。狭いうえに空調が管理制御されていて暑い。もう今日で四日目だ。昨日耐えきれなくなって、コンビニでウィスキーを買ってがぶ飲みした。そしてすぐ119番。外で待っていたら十分ほどで救急車が来た。隊員らが瞳孔のチェックをし、氏名を訊いた。私はしっかりと答えた。酔っていたので彼らが何を言ったのかわからない。救急車は去って行った。(了)