「竜也、いつまで寝てるの。もう起きなさい」
聞き慣れた声で竜也が目を覚ますと、そこは自分の部屋だった。いつもと変わらぬ母の声。下のキッチンからは焼きたてのパンと、コーヒーの香りがしてくる。いつもと変わらぬ朝。
「あ、れ……? さっきの……」
『夢』。竜也はそう思い込もうとした。だが、昨夜の出来事は夢ではなかった。
同じ頃沙弥の家では、やけに頭に響く目覚まし時計の音で起床していた。一晩中の疲れがたまり、どっと疲労感が襲う。
「ほら……やっぱ夢だった」
やや自嘲ぎみのまま、沙弥は乱れた髪をかきあげる。その瞬間ドクン、と自分の心臓がひときわ大きく高鳴った、背中にひどく痛みを感じる。鋭い『モノ』でかきむしったかの様に。背中に手を回してみると、ヌルっという感触がする。
「!!」
おそるおそる手を目の前に持ってくるが、何の変化もない。
「なんだぁ……」
こみあげてくる笑いをこらえながらも、沙弥はベッドに手をつき、床に足をつき、ベッドから立ちあがろうとした。
しかし再び背中に裂けるような痛みが生じた。
健太は寝た時と同じ、ひっそりとした部屋で一人で目覚めた。キッチンに出ても誰もいない。ただ机の上に一袋の菓子パンと、『いってきます』と書かれた紙があるだけだった。いつもと変わらぬ朝。
冷蔵庫からミルクを取り出しカップに注ぎ、それだけが健太の朝食。菓子パンを食べ終えるとゴミは燃えないゴミの袋へ入れ、制服に着替える。親にむりやり入れられた、お金持ちの子がたくさんの小学校。紺色の可愛らしい帽子をかぶると健太は玄関に向かう。鍵を閉め、その鍵のついているヒモを首からかける。
「いってきます……」
誰からの返答もなかった。夢の中でアンティウヌにうけた傷が妙に痛む。
聞き慣れた声で竜也が目を覚ますと、そこは自分の部屋だった。いつもと変わらぬ母の声。下のキッチンからは焼きたてのパンと、コーヒーの香りがしてくる。いつもと変わらぬ朝。
「あ、れ……? さっきの……」
『夢』。竜也はそう思い込もうとした。だが、昨夜の出来事は夢ではなかった。
同じ頃沙弥の家では、やけに頭に響く目覚まし時計の音で起床していた。一晩中の疲れがたまり、どっと疲労感が襲う。
「ほら……やっぱ夢だった」
やや自嘲ぎみのまま、沙弥は乱れた髪をかきあげる。その瞬間ドクン、と自分の心臓がひときわ大きく高鳴った、背中にひどく痛みを感じる。鋭い『モノ』でかきむしったかの様に。背中に手を回してみると、ヌルっという感触がする。
「!!」
おそるおそる手を目の前に持ってくるが、何の変化もない。
「なんだぁ……」
こみあげてくる笑いをこらえながらも、沙弥はベッドに手をつき、床に足をつき、ベッドから立ちあがろうとした。
しかし再び背中に裂けるような痛みが生じた。
健太は寝た時と同じ、ひっそりとした部屋で一人で目覚めた。キッチンに出ても誰もいない。ただ机の上に一袋の菓子パンと、『いってきます』と書かれた紙があるだけだった。いつもと変わらぬ朝。
冷蔵庫からミルクを取り出しカップに注ぎ、それだけが健太の朝食。菓子パンを食べ終えるとゴミは燃えないゴミの袋へ入れ、制服に着替える。親にむりやり入れられた、お金持ちの子がたくさんの小学校。紺色の可愛らしい帽子をかぶると健太は玄関に向かう。鍵を閉め、その鍵のついているヒモを首からかける。
「いってきます……」
誰からの返答もなかった。夢の中でアンティウヌにうけた傷が妙に痛む。


