第6話 掃除機が転がした笑い
(牡羊座君♂x乙女座ちゃん♀)
新学期の一週間目、公園のベンチで、日差しがまぶしかった。歩幅を合わせるだけで、いつもの道が少し特別になる。
二人だけの合図ができたばかりの頃、蒼士は「よし、今やろう」と笑い、菫は「うん」と小さく返す。
今日は買い物を手伝う。机の上に掃除機が置かれていた。今日はそれが鍵になる。
作業の途中、蒼士のスマホが鳴った。画面の通知を見た菫は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
蒼士は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこで掃除機を持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
菫は深呼吸して、角をそろえて並べる。二人で手を動かし、掃除機が役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に蒼士が「送れてなかった」と画面を見せると、菫は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
最後の確認をしていると、菫が「ありがとう」とはっきり言った。蒼士は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で菫の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
菫は歩きながら、ふと掃除機を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。蒼士が「うん」と待つと、菫は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、蒼士は「次は菫のやりたいことを先に聞く」と言った。菫は少し考えてから、掃除機を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。 菫は笑ってうなずき、蒼士の袖を軽く引いた。
【終】
(牡羊座君♂x乙女座ちゃん♀)
新学期の一週間目、公園のベンチで、日差しがまぶしかった。歩幅を合わせるだけで、いつもの道が少し特別になる。
二人だけの合図ができたばかりの頃、蒼士は「よし、今やろう」と笑い、菫は「うん」と小さく返す。
今日は買い物を手伝う。机の上に掃除機が置かれていた。今日はそれが鍵になる。
作業の途中、蒼士のスマホが鳴った。画面の通知を見た菫は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
蒼士は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこで掃除機を持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
菫は深呼吸して、角をそろえて並べる。二人で手を動かし、掃除機が役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に蒼士が「送れてなかった」と画面を見せると、菫は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
最後の確認をしていると、菫が「ありがとう」とはっきり言った。蒼士は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で菫の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
菫は歩きながら、ふと掃除機を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。蒼士が「うん」と待つと、菫は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、蒼士は「次は菫のやりたいことを先に聞く」と言った。菫は少し考えてから、掃除機を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。 菫は笑ってうなずき、蒼士の袖を軽く引いた。
【終】


