第9話 油差しが転がした笑い
(牡羊座君♂x射手座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、空良の家の台所で、夕方の匂いがしていた。空良はエプロンのひもを結び直し、剛士は袖をまくった。
一緒に帰る日が増えた頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは夕飯の手伝いをする。
鍵になるのが油差しで、手順がずれると味も形も崩れる。空良は「できるかな」と首をかしげた。
取りかかった瞬間、思わぬ引っかかりが出てきた。空良が「ここ、引っかかる」と指さす。剛士は返事の代わりにうなずき、油差しを手に取った。
剛士は先に立って歩き出す。力の入れ方を見せてから、空良の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。空良は軽い足取りで目的地を決める、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、空良の口から「行ってみよう!」がこぼれた。剛士は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。空良が「今日は助かった」と言うと、剛士は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
空良が靴ひもを結び直している間、剛士は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、空良は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
帰り道、剛士は「次は空良のやりたいことを先に聞く」と言った。空良は少し考えてから、油差しを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。
【終】
(牡羊座君♂x射手座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、空良の家の台所で、夕方の匂いがしていた。空良はエプロンのひもを結び直し、剛士は袖をまくった。
一緒に帰る日が増えた頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは夕飯の手伝いをする。
鍵になるのが油差しで、手順がずれると味も形も崩れる。空良は「できるかな」と首をかしげた。
取りかかった瞬間、思わぬ引っかかりが出てきた。空良が「ここ、引っかかる」と指さす。剛士は返事の代わりにうなずき、油差しを手に取った。
剛士は先に立って歩き出す。力の入れ方を見せてから、空良の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。空良は軽い足取りで目的地を決める、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、空良の口から「行ってみよう!」がこぼれた。剛士は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。空良が「今日は助かった」と言うと、剛士は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
空良が靴ひもを結び直している間、剛士は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、空良は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
帰り道、剛士は「次は空良のやりたいことを先に聞く」と言った。空良は少し考えてから、油差しを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。
【終】


