「ムリ無理!ならないから!!」
「俺だったらイイ彼氏になんのに」
「自分で言うとかあり得ない」
「まぁ、俺も付き合うならどっちかって言うと女子がイイしな」
「そういうとこだよ!」
「ははっ」
笑った雫クンを見て、気持ちを軽くさせようと言ってくれたんだと気付き、不覚にもカッコいいなと思ってしまう。
違う違う、僕の好みは亮クンのように可愛らしい美人さんで――――
ていうか雫クンってどっちもいけるの?!
この子、何者なんだろう……驚き戸惑う僕を真っすぐに見据えながら、本当にストレートな言葉を伝えてくる。
「でも、まぁ、諦める必要はなくね?」
「え……」
「ダメだと思ったら諦めないとダメなん?」
「そういうわけじゃないけど……頑張るだけ無駄じゃん!」
無理だと分かっているのに努力して、結果ダメだった時のショックの方が大きい。
そんな分かり切ってる努力なんてしたくないから、早々に諦めようと思っているのに。
「無駄でも何でも、止められないのが恋ってもんじゃないの。別に気の済むまで好きでいたらいいんじゃね」
「でもそんなの、カッコ悪過ぎるよ」
無様で惨めになるだけなのに、勝手な事ばかり言って……だんだん雫クンの言葉に腹立たしく思い始めていたところに、思いもよらない言葉を返される。
「なんで?そんなのめちゃくちゃカッコいいじゃん!乙春2でも海人がさ~~」
僕の気持ちを余所に乙女ゲームの話を始める雫クン。
呆気に取られる僕をそっちのけで、彼は恋に懸命になる人間は物凄くカッコいいのだと語り出した。
「…………だから、そんなお前の姿を俺が見ててやるからな!」
「~~~っ!」
なんなんだよ、コイツ……僕の頭を三度撫でながら本気でカッコいいと思ってるし。
長年両親や兄弟に抱いていた重たい気持ちも、コイツならカッコいいって言ってくれそうな気がしてしまう。
甘えてしまいそうになる気持ちを振り払うように、雫クンの手を振り払った。
「もう、いつまで撫でてるんだよ!」
「駆流、何大声出してんだ?」
「わあ!!」
突然結人の声がしてきて、またしても大声を出してしまったのだった。
この勉強会では僕の失恋が確定して落ち込んでしまったはずなのに、雫クンに言われた言葉が僕の中で根付き、無理に諦める必要はないかなという気持ちになったのは確かだった。
彼に本音をぶちまけた事で気持ちが軽くなった気がして、思いの外実りの多い勉強会になったのだった。
