僕と幼馴染のままならない関係


 「自分の気持ちに正直になった方がいんじゃね?相手の為って引いても後悔するだけじゃん」

 「そうかな」

 「なんだ、財前って意外と可愛いところあるんだな~」


 そう言いながら僕の頭を撫でてくる雫クン。

 生まれて初めて頭を撫でられ、僕の方が固まってしまう……こんなナチュラルに頭撫でられる人、いる?!

 雫クンには邪な気持ちが全くないのかニコニコ笑っていた。

 親にも撫でられた事ないのに……でもそのおかげで落ち着いた僕は、結人と亮クンのところに行ってみようと思えたのだった。


 「ちょっと行ってくる」

 「おう」
  

 でもキッチンに入る扉の前で、結人と亮クンの様子が見えて足が止まってしまう。

 亮クンが結人にチョコを食べさせていて……亮クンは全身真っ赤になってるに違いないと分かるくらい、耳も手も……肌が全部真っ赤に染まっていた。

 こんなの僕に入り込める余地なんてないじゃん。

 頑張った結果がこれとかへこむわ……肩を落として雫クンの待つ部屋へと戻る。


 「あれ、早くね?」

 「うん……やっぱやめた」


 何とか取ってつけたように笑顔で返し、自分の場所へと座った。

 あーあ……失恋確定か…………カッコ悪。

 もっと足掻けば良かったんだろうけど、足掻いたところで小さな頃からの絆に勝てるとも思えない。

 最初から勝ち目なんてなかったんだろうな……いつもそうだ。

 たいてい勝負は最初から決まっていて、自分は負け組。

 僕なりには頑張った方だと思うけど。

 相手が悪かったんだ。

 心の中で、必死に自分に言い聞かせる。

 すると彼の手が伸びてきて、またしても無遠慮に頭を撫でてくる。


 「………………なに……?」

 「頑張ったなと思って」


 なんで……なんで一番してほしい事や言ってほしい言葉をお前がくれるんだよ。

 彼には何の忖度もないからこそ、泣きたくなってくる。

 くそ……カッコ悪過ぎる!

 本当は両親にも自分の事を見てほしかったし、期待されたかった、可愛がられたかった。
 
 大きくなってこんな気持ち誰にも言えないから、つまらない日常を埋めてくれる人間なら誰でも良かったんだ。
 
 亮クンなら僕に言ってくれそうな気がした。

 頑張ったねって頭を撫でてくれるんじゃないかなって、ほんの少し期待してたんだ。

 あのひたむきな瞳に僕だけを映してほしかった。

 なのに、なんでコイツが――


 「お前は俺を好きになれば良かったのにな」

 「はあ?!!」


 雫クンのとんでもない言葉に、思わず涙も引っ込み、大声を出してしまう。

 俺を好きになればって……はあ?!