「……無理、コイツと帰るから」
そのまま教室をあとにしたのだった。
”俺を置いて帰ろうとしたのか?”
喉から出てしまいそうな言葉を必死に飲み込む。
俺はこんなに一緒にいたいと思ってるのに、1㎜も伝わっていない事がもどかしい。
冷たい態度で拒絶していたのは自分だなのに。
でももう絶対離さねーから……自分の手に力をこめた。
気付けば玄関まで幼馴染の肩を抱いたままだった俺は、慌てて自分の手を離した。
「あ……わりっ」
「ううん、大丈夫」
気まず……俺の方が大丈夫じゃない。
咄嗟に離したが、手には愛しい温もりが残っていて、あまりに名残惜しく離さなきゃよかったと後悔した。
チラリと彼の方を見てみると、ほんの少し耳が赤い。
少しはそうやって俺を意識すればいい。
全く意識されていないのなら、これから意識させればいいんだと思った俺は、ムクドに誘われたので意気揚々とついて行く。
少しでも多くの時間を一緒に過ごしていれば、そういうチャンスはめぐってくる。
それに他の男がいる場に一人で向かわせたくねぇ。
あの真司って呼ばれてる男、階段で亮を助けた時、明らかに亮の素顔に見惚れてたからな。
アイツは要注意だ。
そいつを見張る為にもついて行ったのに、ムクドにはもう一人の問題児が待っていたのだ。
