僕と幼馴染のままならない関係


 路上での事件があった翌日、登校した後に亮のクラスに顔を出した。

 頭が揺さぶられていたし、足の痛みとかが気になる。

 足、引きずっていたからな……守ってやれなかった事は今でも俺の胸に暗い影を落としていた。

 もうあんな事は起こさせねぇ……!

 昨日おんぶした幼馴染は驚くほど細くて小さく感じ、酷く心もとなく感じた。

 俺は中学生の時にアイツが自分から離れていった事にいじけまくり、家の前で号泣する亮を見かけていたのに、変に拗らせていたせいで声をかける事もしなかった。

 連絡手段はいくらでもあったのに。

 そしてそのまま距離をおいて、再会しても冷たい態度をぶつけ――――俺って最低じゃね?

 ただでさえ小さい頃から亮に頼りっぱなし、助けられっぱなしだったのに。

 アイツが一番辛い時に離れていって…………どう考えても俺が悪い。

 自分がした事の罪深さにガックリと項垂れてしまう。

 よくこんな自分を追いかけて同じ高校に来てくれたな。

 でもそう思うと、スゲー嬉しい……喜んじゃいけないのに、顔が緩んじまう。

 なんであの時に亮が泣いていたのか、その理由は分からないけど、もうあんな風に泣かせたりしない。

 これから先、アイツは俺が守る。

 固い決意をしながら幼馴染のいる教室へ行くと、すでに宝森が来ていたのか、2人で楽しそうに話している声が聞こえてきた。

 
 「次は俺が守るからな!」

 「それは必要ねぇな」

 
 それはこれから俺の役目だ。

 宝森は亮を”推し”だと言っているし、亮に対して俺と同じ気持ちには見えないが、コイツを守るのは俺だ。


 「え、結人?!どうしてウチのクラスに?」

 「ん、昨日痛めたところ大丈夫かなって。違う眼鏡かけてるな」
 

 眼鏡越しだが大きな目を見開いている。

 驚く顔も可愛すぎるな……亮の白い肌がほんのり赤くなっているので、柔らかい頬をそっと触る。
 

 「うん、母さんが新しいの出来るまで古いの使えって。そういや晩御飯に誘えって言われちゃった」


 ”言われちゃった”

 くそ……小学生の時のままの話し方じゃねーか……!可愛いが過ぎる!!

 ここで断ればまた肩を落として落ち込んでしまうだろう。

 自分でもどうやって冷たくしていたのか分からないくらい、もうそんな姿は見たくないと思う。

 今日はバイトもないし、今日でもいいと言うと、


 「本当?!じゃあ今日一緒に帰ろう」


 嬉しそうに顔を紅潮させる幼馴染。

 あ~~~~このまま召されてもいいな。

 すっかり見惚れていた俺は、どうやって教室へ戻ったのか、気付けば自分の席に着いていたのだった。

 その日の帰り道――――


 「んふふっ」

 「なんだよ。気持ち悪ぃぞ(可愛すぎるから止めろ)」

 「なんでもいいんだ。今日も一緒に帰れるなんて思ってなかったから、嬉しくて」