「なんでそうなるかな。ちょっと貸して」
「もっと優しく教えてよ~~僕、亮クンがいいな」
「亮だって自分の勉強あるんだから、迷惑かけない!」
「雫クンだって自分の勉強していいんだよ?」
「俺は亮(推し)の勉強を応援してるんだ。とにかくお前は俺に聞け」
「ひーん」
雫と駆流クンのやり取りって、息がピッタリに感じるのは僕だけ?
雫も駆流クンには自然と話しているような……結人に対しての反応とも違うし。
なんだかんだで勉強をし始めて1時間半は経っていたので、休憩のためのオヤツを用意しに行こうと思い立った。
「少し休憩しよっか。お菓子と飲み物持ってくるね」
「「やった!」」
「ん。手伝う」
喜ぶ雫と駆流クン、結人は僕を手伝ってくれると言ってくれて、持ち物が多くなりそうだったのでお願いする事にした。
駆流クンは「僕も手伝う」と言ってくれたけれど、男3人がキッチンに入るとさすがに狭いのと、結人はウチをよく知っているので駆流クンは部屋に残ってもらう事になったのだった。
「あ、母さんが一口チョコ用意してくれてる。結人の好きなヤツじゃん」
「ホントだ。さすがおばさん」
昔から母さんは結人が来た時の為にって、いつも用意していたもんね。
その事を思い出したのか柔らかい表情をする結人に、一口チョコを差し出す。
「はい」
「……ん」
そのチョコを見ながら結人が口を開ける。
口に入れろって事かな?
手に持ってる個包装のチョコの包みを取り、指でつまんで口に運んであげた……ただそれだけなのに、心臓がやたらとうるさくて、胸が苦しくなる。
ただ口に入れるだけだから。
自分にそう言い聞かせていると、彼の唇に到達するかしないかまで近づいた時、突然手首をつかまれて口に運ばれてしまう。
「ちょっ……結人!」
僕の指ごとチョコを口に含んでしまい、人差し指が、口の中に……彼の分厚い舌がチョコを舐めながら指も舐め上げ、柔らかな感触に背筋が粟立つ。
僕の指を綺麗にするように舌を這わせ、吸い上げると、乾いた音がして彼の唇が離れた。
「………………っ……結人……」
「んま。…………っあ、わり。これ、先に部屋に持って行くわ」
「ん……お願い」
今、全身発火するんじゃないかっていうくらい、真っ赤になっているに違いない……なんであんなこと…………感触が人差し指にずっと残ってる。
でも全然嫌な感じじゃなくて……僕はどうしてしまったんだろう。
自分の気持ちに混乱し、力が抜けたようにキッチンにヘタリ込んでしまう。
とにかくこの熱を冷ましてから行かないと、絶対皆におかしく思われてしまうから……人差し指をギュッと握りしめ、気持ちが落ち着くのをひたすら待った。
その後も勉強会を続けたけど、結人が一口チョコを口に運ぶたびに彼の唇が気になってしまい、集中するのが大変だったのは言うまでもない。
