僕と幼馴染のままならない関係



 「結人なら先生にもなれそうだよね。今も教え方上手だったし、奏斗くんとも仲が良いから年下の子に慕われそう」

 「あ――確かに!でも金髪はマズいよな~」


 雫が悪びれることもなく指摘し、皆が同意する。

 
 「やるとしても小学校の先生はやらねーよ」

 「なんで?」


 僕が聞き返すと、結人は少し間を置いてからポツリと答えた。
 

 「…………怖がらせるだろ」

 「自覚あんのかよ!!」
 

 雫のツッコみにまた笑いが溢れた。

 こんな時間がずっと続けばいいのに。

 そう思いながらハンバーガーを頬張る。


 「俺も食う」


 突然結人に声をかけられた僕は、すぐに自分が口をつけてない部分を差し出した。
 

 「おけ。はい」


 次の瞬間、突然腕を掴まれてしまう。

 そしてその腕をグイッとひっぱられ、そのままハンバーガーをパクリと頬張った結人は、何事もなかったかのようにモグモグしている。


 「ん、んまい」
 

 …………これは世に言う”あーん”をしてあげたって事になるのでは?

 口の中のものを食べ終えた結人は、驚き固まる僕の方を見て、そっと頬に触れた。

 彼の手にはソースがつき、それをペロリと舐めている。
 

 「ソースついてる。食べるのに夢中すぎ」

 「…………っ」


 こちらを見ながら柔らかく笑う幼馴染――――昔は見慣れていたはずの笑顔なのに、随分変わったように感じる。

 僕の心臓は物凄い速さで早鐘を打ち、口からその音が飛び出してきそうだった。

 
 「……ご、ごめん!トイレで顔拭いてくる」


 息をするのも忘れるほど見惚れていた僕は、何とか言葉を紡ぎ、トイレに駆け込んだのだった。

 手洗い場の鏡に映る自分の顔は真っ赤に染まり、長い前髪も眼鏡も、動揺を隠しきれていない……こんな状態で戻れないな。

 再会したばかりの時は、物凄く嫌われていた。

 顔を見るのも嫌だと言わんばかりの態度だったし。

 でも話しかけている内に少しずつ、少しずつ、態度が柔らかくなっていって、路上での件があった後から、距離も縮まり……同じ体育祭実行委員になってからは本当に普通の友人になれた。

 それだけでもとても嬉しかったのに。

 あんな笑顔を向けてくれるなんて――――昔のようだけど昔とは違う。