僕と幼馴染のままならない関係


 そして一人で作業する僕のもとへ、他クラスの男子がやってきて、わちゃわちゃ話を始めた。

 僕は気を紛らわすためには丁度いいと思い、他クラスの男子の仲間に入れてもらい、委員会が終わるまで皆とワイワイ話しながら進めたのだった。


 ~・~・~・~・~


 なんとか作業を終わらせ、帰る時間になったので鞄を背負うと、まだ女子に囲まれている結人が目に入ってくる。

 さっきまで忘れていたのに、また胃のあたりが痛くなってきた……雫がファーストフード店のムクドで真司と勉強会してるから、帰りに寄ってって言われてるけど、胃の調子が悪いからどうしようかな。

 そんな事を考えながら、教室を出ようとした時、僕を呼ぶ幼馴染の声が聞こえてくる。


 「亮!……待てよ」

 
 女子の中から抜け出してきた結人が鞄を持って、僕のほうへやってくる。

 あんなに女子に囲まれていても、僕に気付いて声をかけてくれる事が嬉しい。

 顔に出さないように気を付けたけれど、彼が近くに来ると心臓が痛いくらいにドクドクしていた。

 女子からは「結人帰っちゃうのー?」「えー」「一緒にかえろう」などと声が飛んでいる。

 これは僕が独り占めしていい感じじゃないな……そう思っていたのに。


 「……無理、コイツと帰るから」


 結人は女子たちに見えるように僕の肩を抱き寄せてきたので、驚きのあまり固まってしまう。

 そのまま颯爽と教室を後にした僕たちは、無言で生徒玄関まで一緒に歩いて行った。

 一緒に帰ってくれるんだ……!

 頭の中ではさっきの彼の言葉がずっと流れている。

 『コイツと帰るから』

 僕と一緒に帰る事を選んでくれた……そして教室を出たあとから玄関までずっと肩を抱かれているこの状況。

 どういう事?!

 心臓が口から飛び出そう。

 ずっと続いてほしいような、恥ずかしいような、よく分からない気持ちを抱えたまま、玄関へとたどり着いた。


 「あ……わりっ」

 「ううん、大丈夫」


 結人がようやく気付いたのか、手を離したので僕も解放されたのだった。

 触れられた箇所が熱い気がする。

 自分の変な思考を振り払うかのように、雫たちとの勉強会に彼も誘ってみる。


 「この後バイト?」

 「いや、バイトはない」

 「じゃあこれからムクド行かない?雫と真司が勉強会してるから寄ってって言われてるんだ」

 「…………行く」


 今日は結人と一緒にいられる時間が多くて、幸せだな。

 ポツリと呟くような返事も、可愛くて思わず笑ってしまったけれど。

 彼と話しながらムクドに向かっていたら、委員会の時に痛かった胃はすっかり良くなったようで、雫たちに合流する頃にはまったく痛みはなくなっていたのだった。