「ねぇ、高嶺くんって凄く話しやすいから、名前で呼んでもいい?私も真衣って呼んで!」
「え? ああ、うん。いいよ!じゃあ真衣……さん」
「もう!さん付けたらダメじゃない、亮。ほら、真衣って言ってみて」
「ま、真衣……?」
「もう、疑問形じゃなくて!でもいっか~~よろしく、亮」
女子を名前呼びなんて小学生以来だから、少し照れるかも。
その後も彼女の恋バナを聞きながら、相槌を打つのを繰り返していると、そこへ結人がプログラムを持ちながらやってきた。
「亮、ここなんだけどデザインに悩んでて……」
こうやって自然に話に来てくれる事が嬉しい……もっと話したいな。
近くにいると結人の匂いを感じて、なんだか顔を直視出来ない。
隣りでは、結人がやって来た事でさっきまで元気に話してた真衣が、顔を真っ赤にして俯いていた。
僕はクスッと笑いつつ、彼女を応援してあげなければならないと思い、さりげなく彼女に話を振ったのだった。
「それなら真衣の方が得意なんじゃない?」
「え、あ、なに言ってるの亮は!」
「だって絵とか得意でしょ」
僕は嘘の話を並べ、彼女の恋を応援してあげる事にした。
2人で話す機会をつくれば距離も縮まるだろうし……でもこの話をしている間、ずっと胃のあたりがじくじく痛む。
さっきとは違う意味で結人の顔を直視出来ない。
たった今クラスの女子の恋を応援しようと思ったのに、なんだろう。
結人に、OKって言ってほしくない――――?
普通なら女子に対して思うことなんだろうけど、自分が幼馴染を独り占めしたいと思っていることに気付き、愕然とする。
人の恋路の邪魔をするなんてダメじゃないか。
結人だって迷惑だろうし。
自分の思考回路にフタをするように、2人で作業させるよう言葉をかけた。
「僕、こっちで作業してるから」
「…………分かった」
結人は了承し、作成中のプログラムを持って去っていく。
真衣が僕にありがとうとジェスチャーで伝えてくるので笑顔で、送り出した。
これでよかったはず、だよね?
そう思うのに、まだお腹がじくじく痛む感じがする。
