僕と幼馴染のままならない関係


 
 「亮、ここお願い」

 「うん、このペンで書けばいい?」


 とある日の体育祭委員会、結人の指示に従って描いていく。

 体育祭実行委員の中で一年生は体育祭のプログラムの作成作業や応援旗を頼まれ、分担しながらそれぞれ作業していた。

 実行委員会は放課後行われ、結人も必ず出席してくれて、一緒に過ごす時間が格段に増えたので実行委員会がある日はとても嬉しくなる。

 だんだんと話し方も柔らかくなり、自然に離しかけてくれるようになった事に幸せを感じつつ、僕は1つの悩みを抱えていた。

 それは――――


 「結人くん、これでいい?」「結人~~ちょっと手伝って」「結人くん、上手く描けない」


 あちらこちらから結人を呼ぶ女子の声が飛び交うのだ。

 確かにモテるのは分かっていた。

 実際に男の僕から見てもカッコいいし、分かるんだけど……僕だって結人と話したい。

 そこまで考えてハッと思いとどまる。

 これじゃ、まるで僕が女子に嫉妬してるみたいじゃないか……結人にじゃなくて、女子にっておかしいだろ。

 煩悩を振り払うように首を振る。

 そんな僕のもとに同じクラスの女子の新垣さんがそっと寄ってきて、ひっそり声をかけてきた。


 「久楽くん、凄い人気だね~」

 「本当だね。新垣さんも話したいでしょう?」

 「え、私?!」


 分かりやすく動揺するのでとても可笑しくなり、つい笑ってしまう。


 「新垣さん、面白い」

 「もう!……びっくりした。でもバレバレだよね……見ているだけでも良かったんだけど、話せるようになったら欲張りになっちゃうものなんだなーって」

 「うん……そうなんだよね。もっと、もっとってなっちゃうよね」


 今まさに自分が幼馴染に対して抱いている感情だったので、新垣さんに深く同意する。

 少し話せるようになったら、もっと昔みたいに話したいって思っちゃってるもんな。

 新垣さんの恋バナに相槌を打っていると、彼女から名前呼びの提案を受けたのだった。