「高嶺くんと話すのは初めてだよね?」
「うん。よく僕の名前覚えていたね」
「私、名前覚えるの得意なんだー、だいたい一回聞いたら覚えちゃうの」
「凄いね、記憶力がいいんだ。運動も得意じゃないのに実行委員になってしまった……」
「ふふっ、関係ないよ。二人で頑張ろう!」
「うん」
凄く良い人だな……良かった。
中学時代は女子にも顔を笑われた事があり、正直女子も苦手だったけれど、新垣さんはあまり緊張しないで話せるかも。
1つ1つ克服していくしかないんだよね。
そんな事を考えていると、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてくる。
「亮?」
声の主が誰なのかすぐに分かったけれど、信じられなくてゆっくりと振り返る。
そこには驚いた表情の幼馴染が立っていたのだった。
「結人!今日はバイトじゃ……」
「委員会出てから行く。お前も実行委員?」
「うん、帰宅部だから決まっちゃって」
「…………そうか」
そこまで会話したところで、結人は自分のクラスの席へと向かっていった。
わ――……嬉しいな……。
思いがけず放課後に一緒にいられる機会が出来て、浮かれている自分がいる。
僕の隣に座る新垣さんが結人に挨拶をしている姿が目に入り、6組の自分のクラスの女子にも腕を引かれている結人。
やっぱりモテるんだ……背も高いし、カッコいいもんね。
路上で色々あった時も、女性が結人の腕に絡みついて密着していたし、一緒にいるとそういうのを目の当たりにする機会が多い。
瞬間、チクリと胸が痛んだ。
なんだろう?胃の調子でも悪いのかな。
それは一瞬だったので何の痛みかが分からなかったけれど、その痛みは僕の心に確かに根付き、体育祭が近づく頃には僕の心を確実に変化させていくものだった。
