僕と幼馴染のままならない関係


 翌日、学校に登校すると玄関で結人の後ろ姿を見かけたので駆け寄った。

 昨日の今日で、ちゃんと登校しているのが嬉しくなり、声が大きくなってしまう。


 「おはよう!」

 「はよ。朝から元気だな」

 「あ、ごめん。うるさかった?」

 「いや、別に。いんじゃね?」


 なんだかやり取りが優しくなったような気がして、チラリと幼馴染の顔を見てみると、ほんの少し笑ってる気がする。


 「へへ……」

 「なんだよ」

 「ううん、なんでも!」
 

 僕の顔を怪訝そうな表情で見ているけど、嫌な雰囲気ではない。

 上靴に履き替えながら、今日も一緒に帰れるかなと思い、意気揚々と予定を聞いてみた。
 

 「今日はバイト?」

 「あー……そうだな」


 帰りは別々かぁ……近頃は一緒の時間が増えていたので、ちょっと欲張りになってしまっているのかもしれない。

 僕が肩を落としていたところに、雫の元気な声が聞こえてくる。
 

 「亮~~おはよう!」

 「おはよう、雫」

 「げっ、久楽結人!」

 「……お前…………チッ」


 雫は裏表がないので、思った事がそのまま口に出てきてしまうところがあり、結人に対してもそれは変わらない。

 舌打ちする結人は、何となく気まずそうな表情に見える。

 僕が苦笑いしていると、彼の大きな手で髪の毛をくしゃっとされてしまう。


 「……じゃな」

 「うん」


 優しい手だった……まだぶっきらぼうだけど、確実に距離は縮まってる気がする。

 前みたいに声かけるなって感じじゃないし。

 自分から触ってくれる。

 一瞬だけ、結人の夢を見た時の事を思い出しそうになり、思わず頭を振った。

 頭を撫でられた部分がじんわりと熱い――――昔よりはるかに大きくなった幼馴染の手の感触を確かめつつ、乱れた髪を直していく。