「背、高くなったね!声も変わってきてる」
「すぐに追い抜くよ!兄ちゃんの背も!亮クンに相応しい男になるんだ」
「ん?」
「おい、奏斗。亮が困ってるだろ」
結人に引き離されてブーブー言っている奏斗くん。でも結人は奏斗くんの事は可愛がってる感じだ……二人の関係にホッと胸をなでおろした。
再会を懐かしむ僕たちの間に、若い女性の声が入り込んでくる。
「あのー……結人くんがいつもお世話になってます。何かご迷惑をおかけしてませんか?」
僕も両親も一瞬何を言われたか分からず、顔を見合わせてしまう。
この人は何を言いたいんだろう。
「迷惑なんてとんでもない!昨日も亮が助けていただいて……今日はそのお礼を言いに来たんです」
母さんが大人の対応をしながら、昨日の出来事を説明していった。
両親が頭を下げるので、おじさんは恐縮していたけれど、何となく嬉しそうに見えたのは気のせいではないと思う。
結人は昔から優しいから……自慢の息子だろうな。
そんな和やかな雰囲気をぶった切るような、女性の言葉が放たれた。
「えー……そんな事も出来るんですね。この通り素行が悪くて困っていたので……良かったね、正彦さん!」
「あ、ああ」
「このままいい子に育ってくれればいいんですけど。亮くんみたいな子がそばにいてくれたら安心です!」
なんだか言葉が通じないような気がして、呆気に取られてしまう。
結人の方をチラリと見ても、こちらからでは角度的に表情は窺えない。でも絶対嫌な気持ちになっているに違いない。
この女性の言葉は、結人の全てを否定しているように感じるのは気のせいだろうか。
沸々と怒りのような感情が湧いてくる……いい子って、なに?
家族なのに終始他人事だし、おじさんも言い返さないし、あまりにも腹立たしくて、目の前の女性に思っていた事をぶつけてしまう。
「あの!結人は昔から良いヤツですし、今も良いヤツですけど?」
「えー……それは……」
「僕たちの方が結人の事、よく知ってますし、そんな事言われなくても結人はちゃんと出来るヤツです!」
言い淀む女性に、今度は母さんがとどめを刺した。
「あなた、結人くんを昔から知らないから分からないかもしれないですけど、彼が良い子じゃないわけがないわ。私の親友がとても大切に育てていたのだから」
「加奈さんのことはぁ、よく知りませんし……」
「もし彼の素行が悪くなってしまったと感じているのだとしたら、あなた方大人に原因があるのではなくて?加奈の子供を侮辱しないで。とても素晴らしい子よ」
「それは家での彼を知らないからぁ……」
「だから家が良くないって言ってるんです」
