僕と幼馴染のままならない関係



 「お、はよ~~亮!」

 「雫!おはよう」

 「ってお前、眼鏡変えた?怪我してるし!」

 「あ――……ははっ、実は……」


 僕は結人のところに行くのを一旦諦め、雫に昨日の出来事を説明したのだった。

 話していく内にだんだん雫の顔が悲し気になり、最終的に目が潤み出したので、ちょっと内心焦ってしまう。


 「亮~~俺がそばにいればそんな奴らぶっ飛ばしたのに!」

 「いやいや、そんなんなったら雫に迷惑かけるだけだから嫌だよ」


 あの時、もし結人がやり返していたら暴力沙汰で停学になっていたかもしれないし、雫が空手教室に通っていたのもあって強いのは知っていたけど、友達にそんな事はさせられない。


 「雫の手をそんな事に使ってほしくないんだ」
 
 「亮…………俺、一生お前の事推すから。次は俺が守るからな!」

 「それは必要ねぇな」

 「「?!」」
 

 突然結人の声が聞こえたので顔を上げたら、すぐ近くに結人が立っていたのだった。


 「え、結人?!どうしてウチのクラスに?」

 「ん、昨日痛めたところ大丈夫かなって。違う眼鏡かけてるな」

 「うん、母さんが新しいの出来るまで古いの使えって。そういや晩御飯に誘えって言われちゃった」


 また昔みたいに誘ったら嫌がられるかな……顔色を窺うようにチラリと結人の表情を見ると、少し考えたような仕草を見せるもすぐに快諾してくれる。


 「昨日帰る時にもおばさんに誘われてんだ。今日でもいいぜ」

 「本当?!じゃあ今日一緒に帰ろう」

 「ああ。じゃあな」


 僕は去っていく結人の背中に向かって手を振った。

 今日は一緒に帰れるんだ――――嬉しくて顔が緩みっぱなしの僕に、雫が恐る恐る声をかけてくる。


 「あのヤンキー幼馴染、どうしちゃったわけ?あんなに態度悪かったのに。昨日何があった?」

 「結人はもともと良いヤツなんだよ。昨日も沢山助けてくれて……母さんの力もあるのかな。昔に戻ったみたいだった」


 そう思うとじんわり涙が浮かんできて、眼鏡をずらして涙を拭う。

 ずっとそばにいるって約束したのは僕なのに――――ごめんね、結人。中学時代に約束守れなくて。いつかちゃんと謝ろう。