目の前が真っ白になる……僕にとってこの世界の人々は本当にどうでもよくて、自分すらも透明人間のように思っていた。
誰かを傷つけられてここまで動揺したのは初めてだ。
地面に放り投げられた亮クンを受け止める為に自然と体が動く。そしてなんとか腕の中に収めた。
「駆流クン……」
腕の中の彼は酷く小さくて、心もとなくて。
顔色は青ざめ、グッタリしている。
可哀想に……ちょっと肩がぶつかっただけでこんな粗雑に扱われるなんて……許せない……!
「ちょっと~~~~僕たちの友達傷つけないでくれない?!!」
こんなに声を張り上げたのは生まれて初めて。
でも自分の中に渦巻く怒りという感情をコントロール出来ない。
こんな時でも亮クンが僕たちを止めようとするから……止まるしかなかった。
傷つけられたのは君じゃないか!
どうしてここまで人の為に動けるんだろう。
自ら自分に暴力をふるった相手に向かっていく亮クンの姿に釘付けになっていると、彼の眼鏡を外した素顔を初めてまじまじと見る事になり、僕は腰を抜かしそうなほど驚いて目が離せなくなってしまう。
「亮クン美人さん~~~~素顔がこんなに可愛いなんて知らなかった!!あいつらも動揺してたね~~凄い威力!可愛い!!」
めちゃくちゃ可愛いのに、どうして顔を隠すようにしているんだろう?!!
でも素顔を振りまいちゃったら、周りを次々と悩殺してしまうだろうし、これは彼を守る為にも必要なのかもしれない。
亮クンの頬を両手で挟むと、柔らかくて白い頬がほんのり色付き、僕の行動に混乱している表情がまた可愛くて堪らない。
もちもちだ――ずっと触っていたい。
そこへ結人が辛辣なツッコミをしてくる。
「おい、触るな!菌がうつる」
「ちょっと、ひっど~~菌扱い反対!」
結人だって亮クンが大好きじゃん!
素直になれないなら、僕がいただくから……そんな意味を込めて、亮クンの柔らかい頬にキスをした。
少しでも結人じゃなくて僕を意識してもらいたい。
僕が初めて誰かに執着し、恋をした瞬間だった。
