ゆっくりとこちらに振り向いた幼馴染は、思い切り冷え切った表情をしていて、その目には僕へも情など何もなく、ただただ鬱陶しそうにポツリと言葉を発した。
「っせーな。誰だ、お前。触んじゃねぇよ」
目の前の現実を受け入れられない僕は、ようやく会えた幼馴染の変わってしまった態度に、立ち尽くすしかなかった。
僕の手を払い退けてまた背を向けた結人は、黙々と学食を食べ始める。
結人の友人の一人が僕に「人違いなんじゃね?」とだけ返し、また皆で話し始めた。
そんな…………絶対人違いなんかじゃない。
でもこれ以上食い下がっても迷惑をかけるだけだし、ひとまずは大人しくしよう。
この学校にいる事が分かっただけでも良かったし、まだ時間はあるんだから……沈んでいた気持ちを何とか持ち直していると、雫が学食を持ちながら戻ってきたのだった。
「亮~~お待たせ!遅くなってごめん!やっと戻れたー」
「雫、大変だったね。時間もないし、早く食べてしまおう」
「そだな、いただきまーす!」
僕たちが食べ始めたと同時に隣に座っていた結人が立ち上がり、学食を持ってスタスタと去って行ってしまう。
「おい、結人。待てよ~~」
結人の友人たちが彼の背中を追いかけて行く……僕はアイツの姿を目で追っていたけれど、結局目が合う事はなく、後ろ姿を見送るしかなかった。
「はぁ……」
「どした?さっきの人、すげーヤンキーだったけど。でも顔面は強いな。知り合い?」
「……例の幼馴染」
「ええ?!あのガラの悪いのが?!!」
「シ――ッ!」
大声を出す雫の口を抑えてどうにか落ち着かせると、雫が「ごめん」と呟いた。
とりあえずお昼ご飯を口に放り込み、その話は放課後にでもする事にしたのだった。
