僕と幼馴染のままならない関係


 「亮~~お待たせ!遅くなってごめん!やっと戻れたー」

 「雫、大変だったな。時間もないし、早く食べてしまおう」

 
 亮……雫……すでに名前呼びする友人が出来ているのを目の当たりにして、酷く落ち込む自分がいる。

 くそっ!

 2人の会話を聞きたくなくて、直ぐに席を立ち、その場をあとにした。

 アイツにとって俺はただの友人の一人だった、そんな事を未だに気にする自分が腹立たしい。

 自分に近付くなと牽制しなくては。

 何も知らないくせに。

 俺がどんな気持ちをお前に抱いているのかも、俺の家の事情も、どれほどそばにいてほしかったかも。

 なのに今さら俺に関わろうと必死になる幼馴染……亮の自宅前で、ついムキになってしまう。
 

 「っの、バカが!!」
 

 亮の細い腕を壁に押し付けると、眼鏡が地面に転がり、懐かしい素顔が露わになった。

 その素顔はあの時のまま……
 
 いや、昔以上に磨きがかかっているんじゃないか。

 吸い込まれるそうな瞳、赤く染まる頬。

 あ――……俺の今までの葛藤なんてコイツに会えば一瞬で吹っ飛んでしまうんだな。

 目の前の幼馴染は、その威力をまるで分かっていない。

 なんでこの瞳を隠しているのかは分からないが、1つ言えるのは眼鏡をしていた方がいいかもしれないという事だ。

 昔よりも一層美しくなった素顔を晒したら……コイツに色んな人間が声をかける光景を見なくてはいけなくなる……!