ある程度の成績をおさめていた俺は、県でもトップの高校への進学が決まった。
すぐにバイトを始め、髪の色は金髪に変え、夜はクラブに遊びに行ったり、とにかく家には寄り付かなくなっていた。
クラブのお金は毎回駆流もち。
アイツも退屈な日常にうんざりしていたから、二人で夜に出歩くことが増えた。
父親とはますます距離が出来ていたが、もはやそんな事はどうでも良く、勝手に家族ごっこしていればいいぐらいにしか思わなくなる。
高校に入学し、初めて学食で昼飯を食べていた時の事。
駆流も入れた不良仲間と騒いでいると、隣りのチビが突然話しかけてくる。
「結人?……お前、結人なのか?」
その声は小学校時代とは少し変わっていたけれど、俺にとっては甘い蜜のようで、今となっては苦味を帯びていて……一瞬で昔へ引き戻されてしまう。
違う、こんなところにいるはずがない。
でもこの声は、確かにアイツの声――――
「あ゙?」
強がりとも思える悪態をつきながら振り返ると、そこには一番会いたくて会いたくなかった人物が座っていた。
でも……ちょっと待て。
な、な、な、なっ……なんなんだ、その眼鏡?!!!
分厚いびんぞこ眼鏡をかけ、前髪も目深に切り揃えていた……この見た目は、いったいなんだ……?!
亮の目は誰よりも美しくて、周りの人間を一瞬で魅了する。
小学校時代はクラスの中心で明るく、その笑顔は人を惹き付けてやまない、そんな人物だったはずだ……!
俺の目の前にいるのは確かに亮のはずなのに。
幼馴染に再会した事よりも、どうしてこんな見た目をするようになったのかが気になって、今にも問いただしたくなってくる。
そんな自分の気持ちをグッと堪え、知らない人物のフリをしてやり過ごした。
第一、もうコイツとは関わりたくはない。
亮にとって自分が必要ないように、俺にとっても必要ない人間にしていかなければ。そう思うのに――
