僕と幼馴染のままならない関係


 あまりに息苦しい家から飛び出し、亮の家に行こうと走り出した。

 家はすぐ近くだ……亮――――

 ちょうど帰宅してきた亮を見かけ、喜び勇んで声をかけようとした瞬間、大泣きしている姿が目に入って来る。

 どうして泣いて……自分の事で頭はぐちゃぐちゃだったはずなのに、幼馴染の涙を見たらそんな事はどうでもよくなっていった。

 駆け寄って抱きしめて、慰めてやりたい。


 「亮……!」


 声をかけたけれどその声は届かず、家の中から出てきた母親に泣き縋る幼馴染は、母親に抱きしめられながら家の中へと消えていった。

 そうだよな……亮には母親がいるんだし。

 泣いて苦しくても俺がいないとダメなわけじゃない。

 そう思っているのは自分だけ――――
 
 この時、自分など必要ないのだと頭を殴られた気がした。

 その日からどこにも居場所がないと感じるようになった俺は、友達の家で時間を潰し、なるべく家に寄り付かないようにつとめた。

 父親にもあの女にも、亮にも会いたくない。

 主に中学校で知り合った財前駆流の家に入り浸るようになった。

 駆流の家は超がつくほどお金持ちで、両親もほとんど海外を飛び回っている為家にいない事から、中学時代は駆流の家にいた時間の方が多かったように思う。

 幸い頭の作りが良かったのか、学校に通っていれば成績はある程度上位におさまる事が出来ていたので、父親がうるさく言ってくる事はあまりなかった。

 むしろ学校の方が落ち着いて過ごせたかもしれない……家族にも亮にも会わなくて済む。

 そう思っていたのに。


 まさか高校でその幼馴染に再会するとは、思いもしなかった。