動揺する俺に一歩近づいてきたかと思うと、唇が触れそうなくらい顔を近付け、悪魔の囁きをしてきた。
「私に優しくしてくれないと、正彦さんも奏斗くんもどうなってもいいの?」
目の前の女の言葉に全身が粟立ち、変な汗が出てくる。
なんでこんな女と結婚なんて……父さんに知らせないと…………奏斗も危ない……!
そう思うのにあまりの衝撃に体が動いてくれない。
「やだなぁ~~焦らないで。ほんの少し話相手してくれるだけでいいんだから」
そう言いながらじりじりと近寄ってくるので、なんとか突き飛ばして叫んだ。
「やめろ!!!」
俺の叫び声が聞こえたのか、階下から父さんが急いで上ってきて、俺と新美玲奈の間に立つ。
「どうした?!何があったんだ?」
「結人くんと仲良くなりたかったんですけど、どうしてもダメみたいで……」
「ち、ちが……っ!」
「結人、受け入れてくれとは言わない。だがそういう態度は良くないぞ」
「…………っ!!」
この女にすっかり骨抜きにされている父親に、俺の声は届かない。
父親もこの女も全てが気持ち悪くて堪らない。
