僕と幼馴染のままならない関係


 「よ、よろしくお願いします……」


 とりあえずその場はなんとか挨拶をして、自分を誤魔化した。

 二階の自分の部屋に戻りベッドになだれ込むと、枕に顔を埋める――――突然過ぎて頭が回らない。

 自分の事を支えてくれた女性か……父さんは自分は支えられてきたから一緒にいたいのかもしれないが、俺には全く関係ない人だ。
 
 俺たちだって母さんが亡くなって辛かったのに……亮がそばにいなくても頑張っているのに。

 一階では俺以外の三人で楽しそうにしている声が聞こえてくるので、嫌でもその様子が頭に浮かんできて、だんだんと父さんへのイライラが増していく。

 亮に会いたい。

 頭を撫でながら大丈夫って言ってほしい。

 亮――――――


 ――コンコン――
 

 やり場のない想いを持て余していた時、突然部屋の扉がノックされ、顔を上げた。

 まさか、亮が来てくれた?

 そんなわけがないのに、藁にも縋る気持ちで扉へ飛んで行き勢いよく開けると、そこに立っていたのは先ほど紹介された新美玲奈という女性だった。


 「結人くん、突然ごめんね?正彦さんにお願いして結人くんとお話させてもらいに来ちゃった」

 「………………」


 さっきはあまりの衝撃によく見ていなかったけれど、新美玲奈という女性は、見た目が20代前半くらいに見える。

 父さんよりも一回り若い……男を誘惑するかのような胸を強調した服に、誘うような唇――――そして距離が異様に近い。

 今も俺にすぐ触れてしまいそうな距離で立っている。

 男は皆こうすれば喜ぶとでも言わんばかりの姿に心底気持ち悪くて、無自覚に顔が引きつってしまう。

 
 「結人くんって……私の事嫌い、だよね?」

 「は……?」

 「だって、物凄い表情だもん。汚いものを見るような顔」


 この女……やっぱりただの清楚な女性じゃないな。

 いかにも被害者っぽいような事を言いながらも、嫌な笑みを浮かべている。


 「分かってるなら近寄らないでもらえます?」

 「やだ~~そんな事言っちゃっていいの?お父さん悲しむだろうなぁ」

 「な……っ!」