僕と幼馴染のままならない関係


 「結人は本当に亮くんが大好きね。亮くんがそばにいてくれたら安心だわ」


 それが母さんの口癖だった。

 亮と俺の母親同士が親友で、産院も一緒、誕生日も一日違い、幼稚園も同じ組……俺が亮と離れたがらなかった為、母さんが先生に頼み込んで一緒の組にしてもらったらしい。

 物心ついた時から亮が近くにいて、最初は女の子だと思っていた時もあった。

 それくらい亮が可愛く、この世で一番綺麗な生き物だと認識していたのを覚えている。

 特に彼の目がいつもキラキラしていて……幼心にあの目で見つめられると心臓がドキドキして、ぎゅうっと苦しくなる。

 亮のあの瞳が、常に自分に向けられていてほしい。

 そんな願望から、内気な人間を装っていた部分もある。実はあざとい子供だったのだ。


 「りょうちゃ、あっちいっちゃ、や!いっちょにいて……」

 「うん!」

 
 友達を作ろうともせず、独占欲を堂々と亮にぶつけ、「りょうちゃ、むしこあいぃ」とすぐに泣きつく。

 
 「ゆいちゃにさわっちゃ、めっ!」


 まだ亮も幼いのに、一生懸命に俺を守ろうとしてくれていた。

 そんなアイツの優しさを利用し、ずっとずっと俺だけの亮でいてくれたらと思い始めたのは小学三年の頃。

 明るくて綺麗で誰とでも仲良く出来る亮だから、特に女子と仲良くなり過ぎないように目を光らせていた。

 そんな時、母さんの病……子宮頸がんが分かり、闘病も虚しくあっと間に亡くなってしまう。
 
 母さんは亡くなる寸前まで俺や弟の奏斗を気遣っていたけれど、亮の存在が彼女を安心させていた。


 「結人は本当に亮くんが大好きね。亮くんがそばにいてくれたら安心だわ」