僕と幼馴染のままならない関係


 「間宮君、ありがとう。結人もありがとう。助かったよ」

 「…………気を付けろ」


 ぶっきらぼうにそう言い放ち、階段を一段飛ばしで上って行ってしまう結人の後ろ姿を眺めながら、前ほど悲しい気持ちにはならなかった。

 きっとこうやって交流をしていけば、また前みたいに――――願望にも近い気持ちを胸に抱きながら体を起こす。


 「よいっしょ」

 「亮、大丈夫か?!怪我してないか?」


 雫が怪我の心配をしながら体中見てくるので、「大丈夫だよ」と笑顔で返した。

 体勢を立て直して教室に戻ろうとすると、間宮君が微動だにしないので声をかけた。


 「間宮君?もしかしてどこか怪我でもしちゃった?」

 「……あ、いや、俺は大丈夫だ」

 「よかった!凄く助かったよ、ありがとう」

 「ああ、いや……礼はいいんだ」

 「間宮……まさか…………」


 雫がじっとりとした目で間宮君を見る。

 
 「お前も亮が推しになったんだろう?!」

 「……へ?」

 「やっぱりな~~~仲間が出来てよかった!!」

 「はぁ……そいう事にしておけ」

 
 若干呆れたような表情の間宮君……雫は推し活仲間が出来たと喜んでいる。

 僕はそれを見て何を思えばいいのだろうか。


 「と、とにかく教室に戻ろうか」

 「高嶺」

 「なに?」

 「あー……呼びにくいから俺も亮って呼んでいいか?」


 間宮君の言葉に喜びが溢れてしまい、彼の手を握りながら「もちろん!」と返した。


 「じゃあ僕も真司って呼んでいい?」

 「あ、ああ」


 やった!と喜びを爆発させていると、隣りの雫が「俺は亮(推し)が幸せそうで嬉しいよ」と生優しい笑顔を向けてくれる。

 幸せ過ぎる高校生活に半泣きになりながら、皆で教室へと戻って行った。