素顔を雫に見せた事で彼はなぜか僕の推しになると宣言し、今まで以上に色々な事を助けてくれるようになった。
「推しの幸せを守るのは俺の役目だから」
なんとなく雫との距離も近くなり、兄弟のような距離感に感じて嬉しいな。
苦しかった中学時代が嘘のような高校生活。
未だにふとした瞬間にいじめられていた時を思い出して苦しくなる時もある。
でもこうやって友達との時間を積み重ねていけば、少しは自分を好きになって自信が持てるようになるかな。
そういう意味でもずっとそばにいて応援してくれる雫の存在は、とても心強い。
そんな日常の幸せを噛み締めつつ、歯科検診の後は内科検診が待っていた。
新学期は色々とやらなくてはならない事が目白押しだ。
「今日は内科検診か……なんか毎日色々ある感じするな」
「でもそのおかげでジャージ登校だから嬉しいよ」
「確かに!楽だよな~~」
僕たちが教室でそんな話をしていると、隣りの席の間宮真司という男子に話しかけられる。
「高嶺の腕、白……」
彼は自己紹介の時に野球部でピッチャーって言っていたような……いかにもスポーツマンといった感じで体格がとても大きく、頭を丸坊主にしていて、口数は多くない。
そんな彼が突然ポツリと言葉を発したので、僕も雫も一瞬固まってしまう。
「間宮は野球部だから、さすが黒々としてるな~~」
雫が笑って返すと、間宮君は「そうか?」と自分の腕をまじまじと眺めている。
自覚のないその姿に思わずクスッと笑ってしまい、思っていた事を伝えてしまった。
「黒くてカッコいいよ。僕も間宮君みたいに男らしくなりたいな」
「いや、亮はそのままでいいんだ。推しだから」
「そ、そうかな」
雫が目を輝かせてそう言ってくれる。
今の自分でいいって言ってくれる人がいるのは、とても幸せな事だ。
そして思いもよらず、間宮君からも嬉しい言葉をもらえたのだった。
