どうしようと迷いながらも、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる雫を見ていると、緊張がほぐれて落ち着いてきた。
雫はバカにしたり嫌な言葉を投げかけてくるヤツじゃない。
何かを言ってきたとしても正直な気持ちだから、裏表があまりないのだ。
雫なら信用出来る。
そう思った僕は、意を決してほんの少し、眼鏡を外す事にした。
「ちょっとだけだよ」
「うん」
フレームの両端に手をかけ、少し下にズラして雫にだけ見えるように見せてあげた。
すると雫の顔が、乙女ゲームの話をする時みたいにうるうると輝きだし、両手を組んで拝むようなポーズをしてくる。
「おっっまえ…………いいなぁぁぁ惚れたわ!!俺、お前の推しになる!」
「へ?」
「いや、でも確かに色んな意味で眼鏡はかけておいた方がいいかもしれん。前髪もそのままで。このまま平和な高校生活を送るためにも」
「そ、そうかな。うん、そうだよね。そうする!」
やっぱり雫はバカにしたりしなかった……その事に心底ホッとして、泣きたいくらい嬉しい気持ちになる。
大人しく雫に言われた通りまた眼鏡をかけ直し、良い友達が出来たなと幸せな気持ちでその日を終えたのだった。
