僕と幼馴染のままならない関係


 「何?どしたの?」
 

 雫がやってきて声をかけてくれたけれど、あの人の言葉が僕の中で消えず、しばらく放心状態で教室へと戻って行ったのだった。


 ~・~・~・~・~・~


 「ふーん、なんか嫌な感じ」


 教室に戻り、先ほどの出来事を雫に説明すると、彼の口から正直な気持ちが出てくる。

 確かに嫌な感じではあるけど、それよりも疑問だったのが、「……なんであんな事言うんだろう」っていう事だった。
 

 「普通なら友達を貶めるような事言わないよな。あんま仲良くないのかもよ?」


 雫が当然のように答える。

 確かに僕も雫と同じ気持ちだし、仲良くなった友人の事は悪く言いたくない。

 でもそうじゃない世界があるのも知っている……中学時代、こちらは友人だと思っていたのに、ずっと気持ち悪いと思っていたと言われた事もあるので、人の心は分からないものだ。

 結人は昔から信用している人間しか自分のテリトリーに入れないところがあって、いつもツルんでいる仲間は彼なりに心を許しているのだろう。

 この事は絶対に結人には知らせないでおこう。

 傷つけたくない。

 あんな事を言われたけれど、僕自身は気を付けるも何もないし、幼馴染に関しては自分から壁を作るような事はしたくない。

 それにあの時、僕の眼鏡がズレていたのに気付いてかけ直してくれて、優しい幼馴染の面影を感じる事が出来たのがとても嬉しかったのだ。

 
 「なにニヤニヤしてるんだよ」

 「え? いや、なんでも」


 知らず知らずのうちに顔が緩んでいたらしく、雫にツッコまれて気付く。

 変わっているものもあるけれど、変わっていない事も確かにあって、それを感じる事が出来たので、思いの外嬉しい一日になった。


 「そういや亮の幼馴染が眼鏡直してくれていたけど、そんなに眼鏡外したくないの?」

 「う……うん」


 僕は眼鏡を外せない事の経緯を雫に話し、この事について理解してもらおうと努めた。

 僕の話を聞き終わった雫は、「うーん」と少し考えた後、真剣な顔でこちらに顔を近付けてくる。


 「な、なに?」

 「いや、見たいなって。亮が俺を信用してくれるなら」

 「え……」