「歯科検診だりぃ。帰りてー」
「帰るとか言いながら家じゃないだろ。 どこかクラブにでも行く気か?」
「るせー」
ダルそうな結人の声……僕は反射的に顔を上げると、眼鏡越しながらも結人と目が合い、喜び勇んで声をかけた。
「おはよう!」
「………………」
頑張って声をかけたにも関わらずジロリと睨まれてしまう。
そんな僕に見兼ねたのか、一緒にいた友人の一人が声をかけてきたのだった。
「キミ、この前の学食の……やっぱり結人の知り合い?」
「あ、うん」
「駆流、いいから行くぞ」
結人に呼ばれた駆流という友人は、なぜか僕の方に近付いてきて、耳元に顔を寄せてきたかと思うと、ポツリと思いがけない言葉を残していった。
「結人には気を付けて」
「え……」
僕は一瞬、何を言われたのか分からなかった。
気を付ける?結人に?どうしてそんな事を彼の友人が僕に言うのだろう……友達じゃないの?
驚いて固まっている僕を見て、駆流という友人は「あはっ、かーわいいー」と頭を撫でてくるので髪がもさもさになってしまう。
「ったく……お前、眼鏡ズレてんだろ!駆流、お前もからかってないで行くぞ!」
先に並んでいたはずの結人が僕の眼鏡を直し、すぐに駆流という友人を引っ張って行ってしまった。
