僕と幼馴染のままならない関係



 「親父が作った弁当、ぐちゃぐちゃ。マズッ」


 と言いながらおどけて見せる。

 その表情が何とも言えず……ここに誰もいなかったら、彼を抱きしめたい。

 でも今は、僕もふざけ半分でおじさんが作ったお弁当のおかずをつまみ食いしたのだった。


 「玉子いただき!」

 「あ、おい!」

 「んふふっ。……(モグモグ)…………ん?」


 出し巻き玉子と思われるものを口に入れ、よく噛んでいると、何かガリッと音がする。

 出し巻きって、こんな歯ごたえあったっけ?

 思っている事が顔に出ていたのか、隣りで結人が気まずそうに答えてくれた。


 「多分それ、殻だ」

 「あ、なるほど。殻か……入っちゃう事あるよね…………ふ、ふふふっ」

 「ははっ!帰ったら指導してやらなきゃな」


 結人は大きな口を開けて笑っていた。

 大空に溶けてしまいそうなほど、清々しい表情。
 
 実行委員の仕事でもバタバタと走り回った僕たちは思いの外箸が進み、自分のお弁当を平らげた後、駆流クンのお弁当もいただいて大満足の昼食になったのだった。

 ~・~・~・~・~
 
 そしてようやく我がクラスが活躍出来る種目、計算競争リレーの時間がやってきた!

 メンバーに入ってる僕と雫はグラウンド中央に集合し、ルール説明や待機場所などの確認をする。

 一人1か所計算する場所が設けられ、そこに先生がそれぞれ立っているので、答えを先生の耳元にメガホンを使って申告する。

 そして正解したら次の走者のところへ走り出すのだ。

 パニックになったら頭回らなくなっちゃうし、とにかく落ち着かなきゃ。


 「緊張するな~~でも俺らなら大丈夫だろ」

 「そう思いたい……」

 「おいおい、大丈夫か?亮なら大丈夫だ。久楽もあそこで応援してくれてるぞ」


 雫の指さす方を見てみると、結人と駆流クンが大きく手を振っているのが見える。

 わざわざゴール近くを陣取ってくれて……嬉しいな。

 カッコいいところを見せたい。


 「うん、がんばる」

 「俺がぶっちぎりで亮にタスキ渡すからな!」

 「ははっ。期待してる!」

 
 意気込みを新たに僕はアンカーの待機場所にて座り、その時を待つ。

 そしてスタートの合図が鳴り、第一走者がスタートをした。


 「ガンバレ――――!!!」


 やっぱり僕のクラスは速い……!第ニ走者のところで1位に躍り出て、宣言通り雫はぶっちぎり1位で猛然と走ってきた。

 空手やってたから足も速いんだった。
 
 そして僕は無事に雫からタスキを受け取り、計算場所へと走っていく。

 これだけ差が開いていれば僕の足でも追い抜かれる事はないかも……問題は「x³+27」、因数分解だ!

 見た瞬間に答えが頭に浮かんだので先生のもとへ走り、メガホンを使って「 (x+3) (x²-3x+9) 」と答えると、「OK!」という声がしたのですぐにゴールに向かった。

 良かった、これで1位を死守出来る……!

 結人や駆流クンの顔がチラリと見え、ゴール付近にはクラスメイトが待っていた。

 もうすぐ……!

 あと少し!!