僕と幼馴染のままならない関係


 「歯科検診ダルい~~」

 「ははっ、雫は正直すぎ。でも多目的室に移動しなきゃいけないのは面倒だよね」

 「戻ってきたら自習なのがもっとダルい」

 
 雫の言葉に苦笑しつつ、ひそかに僕は結人と会えないかなと期待していた。

 未だにどの組なのか分からないけど……もしかしたら入れ違いの時に顔を見られるかも?
 
 絶対話しかけると豪語したものの、普通に生活していたらまずすれ違う事すらない。

 1組は端の端だし、場所的にも通りすがりの他クラスの人が1組の前を通り過ぎるという事もないので、クラスにこもっていたらクラスメイトとの日常だけで日々が過ぎ去っていく。


 「寂しいな……」

 「どした?」

 「え、あ、いや乙女ゲームの話!海人ルートで主人公とすれ違っちゃってさ~~」


 危ない危ない……思ってた事が口に出ちゃっていたなんて、気を付けなきゃ。

 今は話しかけても無視される確率が高いし、顔を合わせるのも大変だけど、昔みたいに話せるようになりたいからここでひよっている場合じゃない。

 そう思って意気揚々と歯科検診に来てみたものの、1組と2組でいっぱいの多目的室に結人の姿はなかった。

 椅子に座り、口を大きく開けて歯科医師に診てもらっていると、前髪は真ん中分けになるし、眼鏡がずり落ちそうになるし色んな意味で大変だった。


 「斜線、斜線…………」


 歯科医師の先生が同じ言葉を並べていく……ぼんやりしていると、「はい、いいよ。次の人」と言われた。

 
 「ありがとうございました」


 特に虫歯もなかったので、あっさりと終わってよかった。

 僕の次は雫なので、雫が終わるのを入口付近で待つ事にした。

 結局結人は見当たらなかったな……4組くらいまで来ているけれど、その中にも結人の姿はない。

 という事は4組以降という事になる。

 そうだとしたら1組から遠いのでますます会える機会が減ってしまう事になる。

 ズーンと沈んでいる僕の頭上で、突然結人とその友人達の声がしてきたのだった。