こっそり後をつけると、結人と女子が向かった先は――――校舎裏の大きな木が何本か生えている木陰だった。
こんなの絶対に告白現場だよね。
(ねぇ……やっぱりこんなのダメだよ)
(大丈夫だ。久楽に見つかってもおめでとうって言ってやりゃいいじゃん)
雫は本当に悪気もなくそう言ってきた。
きっと結人が女子と付き合う前提で言っているんだろうな……そうだよね、男子なら可愛い女子に告白されたら付き合いたいってなるよね…………結人もそうなのかな。
でも僕は……もし二人が付き合ってしまったら、どうしようって思っちゃってる。
幼馴染の幸せを祝福出来ないなんて最低だ。
でも嫌だ、OKしないで――――
祈るような気持ちで二人を遠目から見ていると、告白をしている女子が結人の胸に飛び込み、縋り付いているように見える。
(あ――こりゃ付き合うんかな)
(…………っ!)
雫の言葉にこの場にいる事に耐えられなくなり、走り去ってしまったのだった。
もう嫌だ――――自分の気持ちに気付いた瞬間にこんな事が起きるなんて――――もっと早くに気付いていれば――
いや、気付いていたとしても同性である僕が、あの女子生徒のように自分の気持ちを正直に伝える事なんて、到底出来ない。
走っていた足が止まり、自然と涙が溢れてくる。
眼鏡を取りたくない……こんな顔、誰にも見せられない。
「亮!!」
後ろから雫の声が聞こえて振り返ると、僕を追いかけてきたのか心配そうな表情で顔を覗き込んでくる。
「どうしたんだよ?!突然走って行っちゃうからビックリして……」
「雫……どうしよう。僕…………どうしたら……」
溢れ出る想いをどうやって隠せばいいか分からず、雫の肩に顔を埋めた。
涙がとめどなく流れてくる。
校舎の影で、僕の頭を撫でながら落ち着くまでずっと寄り添ってくれた雫は、僕が泣いている間、何も聞いてくる事はなかった。
そしてようやく顔を上げた僕の顔を見て、眼鏡を取ってハンカチで顔を拭いてくれる。
「ふはっ、なんて顔してんだよ」
「だって……」
「はいはい。推しの幸せが俺の幸せだって言っただろ?亮をそんな顔にさせてるのは何なんだ?」
言ってる事が男前すぎる。
「好きな人が出来たんだ……凄く好きで、好き過ぎて、苦しい…………」
