僕と幼馴染のままならない関係


 やがて乾いた音を立ててソレは離れ、僕の唇を幼馴染の指がなぞっていく。

 すっかり脱力してしまった僕から結人の手がスルリと離れ、耳元でポツリと囁いたのはまるで愛の告白だった。
 

 「大好きだよ、亮」


 ベッドが軋む音と共に結人の気配が離れ、ゴソゴソと動く音の後、部屋の扉が開かれた。

 そして閉じる音と共に母さんとの話し声も聞こえてくる。


 『ぐっすり寝てるんで、帰ります』

 『まぁ!泊まっていってもいいのに!』

 『いえ、明日も学校なんで』

 『そう言えばそうね……ありがとう、結人くん。とても助かったわ!帰り道気を付けてね~』


 そっか、明日も学校だもんね……パタパタと階段を下りる音と共に玄関のドアが開閉する音がして、結人が帰ったのだと分かった。

 そしてすぐに母さんが階段を上ってくる。

 僕の部屋に入り、寝ているのを確認しながら独り言を話し始めた。


 「あら、顔が真っ赤ね……大丈夫かしら。念の為、夜間にやってる病院チェックしておかなきゃ」


 そう言って部屋を後にしたのだった。

 ごめん、母さん。顔が赤いのは熱もあるけど、それだけじゃなくて…………。

 さっきのはなんだったの?!!

 僕はすっかり目が覚めてしまい、布団の中でバタバタと悶えた。

 さっきの…………結人の唇だったよね……僕にキスをした?

 なんで?

 しかも帰り際に、大好きって――大好きって――――その時の声がとても甘さを含んでいて、告白されているのかと――――

 でもあれが告白だとしたら、僕は……何を喜んでいるんだ。

 結人のキスよりも告白よりも、自分が一連の出来事全てに喜んでいる事実の方に混乱していた。
 
 頭はパンク寸前になり、全く思考回路が機能していない。

 ダメだ。

 熱もあるし、今考えても頭が回らない。

 ひとまず思考停止し、とにかく寝て回復する事だけを考えながら布団に潜り込んだ。

 でも……忘れられるわけないよぉぉぉ!!

 早く寝なきゃいけないのに眠れず、結局夜中まで悶々した結果、体力の限界に達したのか自然と寝落ちしていた。

 そして翌日の昼には熱もかなりおさまり、土日も挟んだので月曜日にはすっかり元気になったので、無事登校する事が出来たのだった。