「腹減ったからムクド行こうぜ!」
「いいね~~僕もペコペコ」
「よし、決まり!」
こういう事も雫と駆流クンがいればすぐに決まってしまう。
同じ乙女ゲーム好きだし、二人は相性がいいと思っていたので、やっぱりその通りだったみたいで嬉しくなる。
それにしても暑いな……カラオケボックスにこもっていたからかな?
ムクドでしっかり水分補給しないと。
暑くて少しボーっとしている僕を心配したのか、結人がまたしても声をかけてくれる。
「亮、どした?」
「ん?いや、ちょっと暑いだけ。水分とったら大丈夫だと思う」
「……じゃあ、早く行こうぜ」
「うん」
誰も気付かないような事も結人なら気付いてくれるんだなぁ……幼馴染の役得感を感じ、少し顔が緩んでしまう。
この時は皆と一緒の時間がとても楽しくて、幸せで、どうしてこんなにふわふわするのか、ボーっとするのか、あまり深く考えてはいなかった。
でもムクドで水分補給しても解消されず、帰りの電車に乗っている最中に、いよいよ様子がおかしいと思った結人が僕のおでこに自身のおでこをくっつけてきた。
結人のおでこ、冷たくて気持ちいいな――――
「あつっ!おい、凄いあちぃぞ」
「……え?」
結人の言葉を聞いて、駆流クンが僕の首に手を当てた。
「うわ!なにこれ……絶対熱あるやつじゃん!早く帰らないとっ」
え、そうなの?グラッとしてたのも熱が原因?
熱だと理解した途端にクラクラしてきて、さっきまで立っていたけれど、足に力が入らなくなってくる。
でも座席は空いてないし、どうしよう――――
「俺に寄っかかってろ」
結人が僕を引き寄せ、腕を背中に回し、脇を抱き抱えてくれたのだった。
そのおかげで足に力が入らなくても寄りかかる事ができ、僕は安心感に包まれた。
凄く重いはずなのに、片腕で軽々と支えてくれるんだ……結人は凄いなぁ。
それに彼の匂いに包まれていると本当に幸せな気持ちになる……このままずっとこうしていてほしい。
「亮?」
「……ごめ、ん…………ね……」
結局迷惑かけちゃったなぁ……熱が下がったらお礼を言わないと……すっかり安心しきった僕は一気に眠気に襲われ、電車の中で少しだけ眠ってしまったのだった。
